昨日の日経新聞に、さわかみ投信の意見広告が掲載されていた。
読んでいない方のために広告文を引用掲載すると、以下の通りだ。特に下線部に注目して、読んでみてほしい。
(以下、引用掲載)
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皆さんは、なにを信じますか?
金融を大幅緩和し、資金さえ大量に供給すれば、そして金利をゼロにすればのマネタリー政策ですが、どうにも成果が上がらないですよね
唯一の成果と言えるのは、株高による資産効果ですが、それがさっぱり個人消費の増加につながってくれないそれどころか、バブル膨れしている資産勘定は、バブル崩壊時には途方もなく巨大な火薬庫となるのです
こんな状況下でも、人々の生活は続いています人々の生活を支える企業活動も、一時として止まりません
それが実体経済であって、なにがあってもなくなりっこありません
そこだけに絞り込んだ長期投資に徹しておけば、なにをか怖れんやです
金融マーケットでバブルを踊り狂う投資もどきではなく、
実体経済を一歩も離れない長期投資に徹しようではありませんか
取締役会長 澤上篤人
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事業承継にも通じるのは、下線部の3点だ。
①バブル膨れしている資産勘定は、バブル崩壊時には途方もなく巨大な火薬庫となる
コロナ対策で大盤振る舞いが続いている世界経済に、バブルが生じているのは明らかだ。そして、それはさわかみ投信だけの意見ではない。世界銀行やFRBも、最近盛んにバブルに警鐘を鳴らし、注意喚起を行っている。私が個人的に尊敬し、目標としているバフェット氏も、別の紙面で、「米国民は、数兆ドルの借金を無視して、給付金1400ドルのことばかり話している」と述べていた。そして、自己投資勘定でも14兆円を超える現金を積み上げるなど、バブル崩壊への備えを着々と進めている。
実は、過去のバブルの多くも、現在と同様に、事前に中央銀行や新聞等で注意喚起されていた(バブルは、見る人が見れば、十分事前にわかるものなのだ)。そして、歴史的に見ても、その注意喚起は事前に広くなされていたのだ(あなたが一般人なら、大事なのは「バブルかどうか」の判断ではない。その「注意喚起に気づき、対処できるかどうか」だ)。
ただ、過去のバブル時の報道事例を見ても、どういうわけか、日銀がバブルについて警鐘を鳴らしたことは、FRBや世銀にくらべて圧倒的に少ない。だからこそという面もあるのだろう。その役目を、イチ運用会社であるさわかみ投信が、日本の一般投資家のために、多額の費用をかけてやっているところに、面白さを感じる(通常、ファンドマネージャーは自分のポジションを隠すものだ)。生活者投資家のための長期投資を標榜し、真の長期投資を日本に根付かせようという、同社の姿勢、意気込みの表れだろう。
バブルは、熟柿が木から落ちるように、ある日突然、重みに耐えかねて自然に崩れるものだ。時が来れば、ヒトが気づいていようと気づいてなかろうと、落ちるときには自然に落ちる。大事なのは、その備えを事前に出来るかだ。いつ落ちるのか、正確には誰にもわからないが、その備えのための時間は、日々短くなってきているのだろう。何事も、早めの行動が肝要だ。
②こんな状況下でも、人々の生活は続いています
人々の生活を支える企業活動も、一時として止まりません
それが実体経済であって、なにがあってもなくなりっこありません
さて、ではバブルが崩壊したらどうなるか?
そんなに、難しく考える必要はない。ただ、「バブルで上がっていた資産価格が下がる」だけだ。ただ、今回のバブルは過去のバブルと比べて、ケタ違いに規模が大きく、裾野も広い。なにしろ、コロナ対策という名目で、世界中の中央銀行が主導して、ケタ違いの現金を多くの一般市民にまで配っているのだ。歴史上初のスケールのバブルと言っても、過言ではない。だから、その崩壊時には、バブルで上がった資産価格の下落もケタ違いに大きく、連鎖的な影響も、とても広範なものになるだろう。だが、実体経済は変わらない。では、実体経済とはなにか? それは、皆さんの生活を考えるとわかりやすい。
たとえば、皆さんは、いまがバブルだからと言って、毎日10回食事をしたり、10倍の電気やガスを使ったり、しているだろうか?(普段より、高級ブランド品は買っているかもしれないが・・・)逆に、バブルが崩壊したからって、食事を10日に1回にしたり、電気やガスをまったく使わない生活にしたり、するだろうか?(いまより、高級ブランド品は買わなくなるかもしれないが・・・)こういう、人々の日々の生活こそが、実体経済だ。そして、実体経済に近い企業ほど、バブル崩壊の影響が少ない(また、影響を受けても、早く戻る)。
だから、上場企業への投資を行うなら、この実体経済を支える企業への長期投資が、最適解だ。
そして、ここで大事なことが1つ。
日本の実体経済の大半を支えているのは、中小企業なのだ。なにせ、GDPの7割、雇用の8割は、中小企業が支えているのだから(ちなみに米国では、その半分程度に過ぎない。だから、中小企業の重要性もその分低い)。だから、日本の実体経済を支えるには、中小企業を支える必要があるのだ。
③バブルを踊り狂う投資もどきではなく、実体経済を一歩も離れない長期投資
いまは、政府と中央銀行が「生活費」で配った現金が、「博打」の原資としてマーケットに流れ込んでいる。ロビンフッダ―や仮想通貨の暴騰などは、その好例だろう。こういった「投資もどき」は、「少数の勝者、敗者多数、そして胴元はリスクゼロで儲かる」ゼロサムゲームだ(詳しくは、前2回のブログを読んでほしい)。それは、バフェット氏が下記のように例えているのと同じだ。「アメリカ人3億人が、1$コインを賭けてじゃんけん大会をする。勝者総取りで、数10回繰り返すと、億万長者が100人強出る。」総額の3億ドルは、1ドルも増えはしない。ただ、配分が変わるだけだ。これは、本質的に価値を生み、3億ドルをたとえば10億ドルに増やしてその成果配分を得る、「投資」とは、まったく別物だ(だから、「投資もどき」という言葉を使っているのだろう)。
これは、我々が取り組む事業承継でも、同じことが言える。
「事業承継ファンド」が雨後の筍のように出来ているが、この大半は「事業承継もどき」だ。なぜなら、これらのファンドがどれだけ事業承継問題を抱えている企業を「買収」したとしても、それを再度「売却」する以上、事業承継問題を抱える企業の数は変わらないからだ。見方によっては、ある意味、上記のじゃんけん大会より始末が悪いかもしれない。じゃんけん大会の3億ドルはそのまま残っているが、承継もどきでは、その大半を、胴元であるファンドが奪ってしまうからだ。だから我々は、「転売無し」「統合無し」「移転無し」の永久保有による承継を、「ソーシャルビジネス」として提供している。それは、時間も手間もかかるし、目先の儲けにもなりにくい。だが、それこそが、丁寧かつ確実に、本当の事業承継を行い、事業承継問題を根本的に解決していくための、数少ない方法だからだ。
さわかみ投信に直接聞いたところ、当面の間、意見広告を続けるらしい。次は、いつどんな意見広告が出るのか、楽しみにしたいと思う。

