あけましておめでとうございます。
さて、まず今月は2つのセミナーを用意している。2つとも内容の濃いセミナーになっているので、ぜひ足をお運び頂ければと思う。
1つ目は、1月22日(水)に澤上篤人氏を迎えて行う、一般投資家向けの新春特別セミナーだ。さわかみグループには、当機構創業時に多大な支援を頂き、独立後も澤上会長には継続的に助言やセミナー講師をして頂くなどご支援頂いている。その澤上会長にゲストとして登壇して頂き、「事業承継の究極スポンサーは個人マネーだよ」というテーマで講演して頂く予定だ。
2つ目は、1月23日(木)に日本金融通信社主催でステーションコンファレンス東京(東京駅直結)において行われる「事業承継・M&Aフォーラム 2025」だ。こちらは銀行関係者などプロ向けの内容であるが、金融庁や中小企業庁の政策担当者による基調講演のほか、七十七銀行、京都銀行をはじめとする有力地方銀行等が実例を交えて事業承継への最新の取り組みをご紹介するセミナーで、当機構も七十七銀行とともに登壇予定だ。なお、参加には両セミナーとも事前申し込みが必要なので、ご関心がおありの方は下記から事前申し込みした上でご参加頂ければと思う。
1月22日(水):新春特別セミナー(当機構本社)
https://jigyosyokei.co.jp/company/seminar/
1月23日(木):事業承継・M&Aフォーラム 2025(ステーションコンファレンス東京)
https://www.nikkinonline.com/article/235021?category=seminorevent
ただ、上記日程ではどうしても都合がつかない方や、地方在住で参加が難しい方もおられるだろう。そこで今回は、JSKが運用している事業承継未来ファンドにインパクト投資をすると、現実社会の何がどう変わるのか? それは、普通の資産運用とどう違うのか? を、実績を踏まえてご紹介していきたい。
結論から言うと、当機構が運営している「事業承継未来ファンド」は、他のファンドとは次元の違うインパクトを生み出す。それは、普通の資産運用で求められる年率4%目標(※個人向けファンドの場合)の「金銭的なリターン」に加えて、下記の1石5鳥の現実社会へのインパクトを生み出すからだ。
① 雇用維持
② 経済維持
③ 税・社保維持
④ シニア活躍機会創出
⑤ GDP増加
上記5つのインパクトについて、直接効果、間接効果、複利効果の3つに分類して、ご説明していこう。
まず1つ目は、投資を通じて中小企業を残すことによる直接的なインパクトだ。具体的には、上記のうち①雇用、②経済、③税・社保、の維持にあたる。
JSKはこれまでの6期間の活動で、約50億円を投資家の皆様からお預かりし、うち30億円強を投資して23社の事業承継を行い、1040名の雇用、年180億円の経済、年20億円超の税及び社会保険料を、実績として維持してきた。「永久保有前提で、従業員や取引先のために転売や統合をせずに会社を引き継いでくれるJSKのような先がなかったら、本気で会社を潰そうと思っていた」という創業者の声も多かったことに鑑みれば、JSKが承継しなければ、これらの企業は消滅していた可能性が高かったと言えるだろう。もしそうなっていたら、社員の家族や取引先を含めれば3000人以上が路頭に迷いかねなかったということだ。
皆様からお預かりした資金は、3000人以上の国民のリアルな生活を守っていると言える。経済面でも日本の産業を黒子として支え、国や地方自治体には税金を納め、社会保険制度を支えている。さらに、シニアの雇用機会を新たに創出し、預金よりも高いリターンを創出してGDPを増やし、今日の、そして子や孫の未来の日本を支えるために、多面的に大きな役割を果たしている。単なる金銭的リターンに加えて、これだけのインパクトを実績としてあげてるファンドは、世界中を見ても数少ないのではないだろうか?
2つ目は、投資を通じて中小企業を残すことによって生まれる間接的/副次的なインパクトだ。この2つは、投資家の皆様からお預かりしたファンド資金と、JSKが開発・運用している「事業承継プラットフォーム®」と合わせて活用した共同成果として生まれてくるものだ。
中小企業1社1社には、どうしても手が届かないが、重要な課題が多数ある。たとえば、デジタル化の推進、生産性の向上、効率化・省人化、シニア雇用推進、事業継続性(BCP)対策、コンプライアンス改善、等がその代表例だ。その重要性は明らかではあるものの、中小企業1社1社にとっては、いずれもヒト・モノ・カネというリソースが相応にかかり、高度なノウハウを持つ外部専門家を雇うことも必要で、しかも効果が出るのに時間もかかるために、後回しにされることが多い課題だ。
これらの、重要だが後回しにされがちな課題を効率的に解決するために開発されたのが、当機構の「事業承継プラットフォーム®」だ。1社1社では解決できない問題を、JSK本社にいる50名超の高度専門家が支援することで、「安く・早く・効率的に」解決していくための仕組みだ。
例を挙げると、たとえばコンプライアンスにおいては、JSKグループで統一して「JSKほっとらいん」という通報制度を整備している。グループ会社でコンプライアンス違反に該当しそうな事項があれば、グループのメンバーなら誰でも匿名で通報することが出来、その意見に対して専門家を含めて判断・改善が為される仕組みを構築し、運用している。これにより、中小企業にありがちなパワハラなどのハラスメントが目に見えて激減し、社員の労働環境の改善に大きな役割を果たしている。
BCPにおいても、DXを活用して、災害時の安否確認を社員及びその家族までいつでもできる仕組みを構築して提供している。万一の災害時にも、社員やその家族の安全を最優先し、いち早く状況を確認できる体制を構築したうえで、次に会社の工場や現場の復旧に誰がいつから取り掛かることが出来るかを見える化し、社員にとって大事な雇用の場を守れるように取り組んでいる。
また、例えばグループ会社の資産リストをJSKが作成し、随時共有している。これにより、たとえば西日本のグループ会社が地震や津波で被災したとしても、東日本のグループ会社が持つ機械や設備で同様の製品を製作することで、取引先に迷惑をかけない仕組だ。これも、1社1社では困難であり、23社ではまだまだ途上だが、JSKグループが100社、1000社となった時には強力な武器になるだろう。このように、JSKの「事業承継プラットフォーム®」上でこそ創造できる新たな価値も、皆様の「事業承継未来ファンド」への投資が生み出していると言えるだろう。
さらに、シニアの雇用においても、グループ全社で100名弱の新規雇用を生み出している。一中小企業においては、60社以上の大企業に自ら声をかけて提携し、2,000人以上の希望者を集めて随時面接し、600名以上の候補者リストを常に更新しながら、中小企業で不足しているポジションとマッチングしていくことは、ほぼ不可能だろう。しかし、当機構はたった3人で設立された6年前から常に「5000社の承継」を不変の目標として目指し、その過程で共通課題となる中小企業の人材問題に取り組んできた。そして、大企業にとってもwin-winの機会にする解決策を開発・運用してきた。だからこそ創造できる、新たな価値の提供である。この活動も、やはり皆様の投資が生み出したインパクトと言えるだろう。すでにシニアの新規雇用機会創出においては、日本でもトップクラスの実績を有しているのではないかとも感じている。
さらに、このシニア雇用機会の創出は、地方創生や大都市圏への人口集中といった国家的課題の解決にも貢献している。仕事があれば、人はその地域に住み続けることが出来る。仕事がないから仕方なく地方から都心に出てしまうケースは、昔も今も多いのだ。事業承継問題を放置して、地方の中小企業の廃業になんの対策も打たないことは、地方創生や人口集中といった問題を悪化させることでもあるのだ。
このように、皆様からお預かりした資金は、働く人の労働環境を改善し、災害対策を促進し、災害時にも大企業のバリューチェーンを守り、さらにシニアの雇用機会を創出しながら、地方創生や人口集中問題を解決するインパクトを創出している。
そして3つ目は、このインパクトが「複利」であることだ。この複利が正の相乗効果を生み、長期的に見ればより大きな投資インパクトを生む。(複利の効果が最も大きいことは、投資家の皆さんならよくおわかりになることだろう)
さて、インパクトが「複利」であるとはどういうことか? それは、当機構の企業理念でもある「雇用・経済・安全を子や孫に残す」に通じている。ポイントは、雇用・経済・安全というのは、それぞれが独立した課題ではなく、相互に深く関連している課題であるということだ。そして、その問題解決に効果的に複利で役立つという点が、「事業承継未来ファンド」が生み出す真のインパクトだ。
わかりやすく、例を挙げて説明しよう。たとえば、皆様からお預かりした1億円を投資して1社を承継し、50名の雇用と10億の経済、1億円の税金を残したとしよう。その時、この50名の雇用を残した効果は、1世帯2人とすれば100人の生活を維持する効果になる。その100人の生活が残れば、1人あたり消費を年100万円として年1億円の消費がその地域に残る。この1億円の消費が残れば、その100人に商品を提供している別の会社(たとえば米屋)において、数人の雇用と経済、税金を残す効果を生む(これが複利のインパクトだ)。次に、米屋の雇用が残れば、さらにその米屋の家族の消費が、今度は八百屋の雇用を残し、経済を残し、税金を残す(複利の複利)。その八百屋の雇用が残れば、今度は魚屋の雇用を残し、経済を残し、税金を残す(複利の複利の複利)。魚屋の家族の生活が残れば、次はその魚屋の家族の消費が肉屋の雇用を残し・・・(以下、繰り返し)
どうだろう? 当機構の「事業承継ファンド」においては、投資インパクトが複利で生まれるということが、なんとなくでも想像できただろうか? そして、そのインパクトが、非常に多面的でかつ波及効果が高いことが、ご理解頂けただろうか?
インパクト投資はまだ金融的に新しい分野なので、実はそのインパクトの測定方法はまだまだ確立していない。これは社会的な課題であるが、我々は、当機構の事業承継未来ファンドは、数あるインパクト投資の中でも群を抜いて多面的かつ波及効果が高いと考えている。
比較のために一例をあげると、たとえば環境へのインパクト投資の代表格の1つである太陽光発電投資は、自然エネルギーを使い、CO2を出さずに発電できる点は確かにエコだ。だが、その期間は20年程度と期間限定であり、その生み出す効果も他エネルギーの代替であり、いわば「単利」のインパクトに過ぎない。一般的に太陽光発電装置は約20年持つと言われているが、その20年間の発電のために100年以上の樹齢の木々を切り倒して森林を更地にしてCO2の吸収源を20年以上にわたって減らすこともある。その後に森林再生をするにはさらに多額の植林コストや手間、成長に数十年の時間がかかる。その間もCO2の吸収がなされないことや、木を伐採したことで土地の保水力が落ちて土砂崩れ等を起こすリスク等まで考慮に入れる必要がある。また、20年後には廃棄物問題や廃棄処理コストなどの撤去費用もかかるだろう。これらを総合的に考慮に入れないと、太陽光投資によるインパクトの実態はわからないのだ(金銭的なリターンは出るので、資本主義的には成立しているのだろうが)
さて、複利効果を理解頂けたら、次は不都合な真実にも目を向けて頂きたい。上記のような複利効果がある中で、その複利効果が逆回転して負の効果を生み出したら、何が起こるか? ということだ。つまり、上記と同じ事例を前提に、たとえばJSKが運用しているファンドにお金があれば会社を残せるのに、そのお金がないために会社を潰してしまったら、現実社会で何が起こるだろうか?
まず、先に上げた例と同じ会社が倒産すれば、100名の雇用と10億の経済、1億円の税金が消滅する。その家族100名はなんとか生活していかなければならないが、仕事がなくなれば仕事を求めてその住み慣れた地域から離れざるを得ない。だから、仕事がある都会に家族で移住する。すると、その地域では100人の消費1億円がなくなるので、次は米屋が連鎖倒産することになる。すると、その米屋の数人の雇用と経済、税金がなくなり、その家族が仕事を求めてその住み慣れた地域から離れざるを得なくなる。そして、仕事がある都会に家族で移住する。米屋がなくなると、今度は八百屋が倒産し、その家族が移住する・・・次は魚屋が・・・(以下、繰り返し)
これが、複利効果が逆回転した場合に発生する、負の効果だ。このように、事業承継問題は過疎化の一因でもある。だから、事業承継問題を解決することは、地方創生においても有効な対策なのだ。そして皆様の投資は、大きな正のインパクトを生んでいるのみならず、上記のような悲惨な負のインパクトが生じるのを防いでいるのだ。
事業承継問題では、今日も1日約174社が廃業し、1506人が失業し、52億円の経済が失われている。これが毎日、20年続いていく。中小企業は都市部より地方に多いため、この負のインパクトが地方創生を妨げている一因であることに、疑いの余地はないだろう。
これが、事業承継問題が日本を揺るがす大問題であり、他人事ではなく全国民にとって自分事の問題であるという、当機構の主張の根拠だ。事業承継問題のインパクトは、多面的かつ波及効果の高い「複利」で、正にも負にも発生する。だからこそ、子や孫のために、より早く、より大規模に解決する必要がある問題なのだ。その解決のために、当機構は具体的な解決策として「事業承継プラットフォーム®」を開発し、機関投資家に加えて一般個人が投資することができる「事業承継未来ファンド」を開発し、運用することで、事業承継問題の全面的解決に挑戦している。
この問題は、5年以上前に、明らかにしたとおりだ(上記は、2020年に出版した弊社の書籍でも指摘済みだ)。その後、5年かけて解決策として「事業承継プラットフォーム®」が開発され、現実社会においてテストもされ、良好な結果が出てきている。
それなのに、この解決策を活用せずに、事業承継問題を放置して問題が拡大したら、我々の子や孫は将来何と言うだろうか? これだけ問題が明らかにされており、解決策があるにもかかわらず行動しないでいたら、それは「両親や祖父母の世代(つまり現世代の我々)が引き起こした人災」だと、後世において評されてしまうのではないだろうか?
このファンドの資金を集めるのは、当機構の大事な仕事だ。そこで、当機構のファンド募集の考え方もご説明しておこう。事業の成長に伴い、当機構が5000社の事業承継プロジェクトを進めるために必要とする金額は、設立当初の年数億円から、今年は年100億円単位になっている。そして、当機構の取組が進めば、数年後には1000億円単位になり、最後は1兆円単位になることも見えている。だから、その具体的な募集にあたっては、①最初は地方銀行、②次はメガバンクや大企業+政府系、③最後は個人、の3ステップで進めることを設立当初から計画しており、今は①から②に移行しつつある時期だと考えている。
時間軸的には、2025年~2027年までの3年間は、これまでの約30億の投資実績とインパクト創出実績を根拠として、約300億の投資を政府系(呼び水効果含む)+民間金融機関+民間大企業および個人投資家から集め、すでにご意向を頂いている候補先の事業承継を順次実現していくことで、さらなる実績を積み上げていきたいと思っている。
その後、2027年以降は、個人が主役だ(それは、澤上会長のセミナーのテーマでもある「事業承継の究極スポンサーは個人マネーだよ」の通りでもある)。2026年後半頃には、運用開始から5年が経過する個人向けの1号ファンドで償還実績を出せる見込みが立ってきているので、まずはこの償還実績を出すことが大きなマイルストーンになる。償還実績が出てくるタイミングで、大規模に個人向けプロモーションすることで、将来の1兆円の募集・運用につなげていきたいと考えている。
1兆円と言う金額は、大きく見えるかもしれない。だが、個人の預金は1000兆円を超えている。つまり、全国民が、預金のわずか0.1%(1万円当たり10円だ)を、社会のために、子や孫のためにという想いを持って投じることが出来れば、事業承継問題は大きく解決に進むのだ。そして、その投資は、巡り巡って大きな複利効果を生み、自己のためにも、子や孫のためにも、国のためにも大きなインパクトを生み出すのだ。
人は誰でも、リターンは高く、リスクは低い方がいい(個人としては、私自身も全く同感だ)。だから、資産の9割は、普通に利殖目的で運用すればいい。だが、利殖だけでは届かない世界があり、問題がある。事業承継問題は、その問題の1つだ。
そこで、年初に当たり、資産の1割を目途に、利殖目的ではなく、「子や孫への想い」を持って世の中をよくするために投資する枠を作ってみてはどうだろうか?
子や孫のために「運用しながら、社会貢献する」当機構の事業承継未来ファンドで、あなたのお金を有意義に働かせてみませんか?
当機構社員一同、今年も子や孫のために、事業承継問題の全面的解決に全力で取り組んでいく所存です。本年もどうぞよろしくお願い致します。