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人口減少と事業承継

総務省が15日に、衝撃的な発表をした。
日本の2021年の人口が、前年比64万人減ったということだ。


死亡数は144万人、出生数は83万人であり、その差に出国者数3万人を加えて64万人減となったわけだが、
減少は11年連続であり、かつ減少数は過去最大になったと言う。


これは、ニュースではさらっと報道されただけだ。
だが、3つの意味で非常に衝撃的な数字なので、皆さんと共有しておきたいと思う。


まず第一に、「日本人は200年ほどで消滅するかもしれない」ほど急速に減少しているということだ。
日本の人口は1億2550万人だが、年64万人ずつ減っていけば、197年後の2219年には日本人はいなくなる計算だ。
人類史上、これほど急激なペースで人口が自然に減少した例はない。
かつ、そのペースは今後さらに2060年ごろまで(世代人口が多い団塊世代+団塊ジュニアの世代が寿命を迎えるころまで)さらに加速する。
最も多い年には、年間100万人以上減少することが見込まれている。
日本では、人類史上初で、どの国も未体験の巨大な人口減少が起こっており、かつ今後もその人口減少は加速して、長期的に起こり続けることを認識しておく必要がある。


第二に、「人口の減少ペースが、国が想定しているよりも速い」ということだ。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人(2010年人口の32.3%減)にまで減少すると見込まれている。
その中で注目すべきは、特に将来の労働力につながる「出生数」が、予測を大きく下回っていることだ。
国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(日本人人口ベース)では、2021年の出生数は86万人台と予測されていたが、その予測を4%近くも下回っている。


前回のブログで書いたように、医療や技術の進歩で人類の寿命が延びているので、総人口は減りにくくなっている。
だが、総人口と生産年齢人口は別物だ。
働いて国を支える世代が計画よりも減り、国に支えられて年金や医療費が嵩む世代が計画よりも長生きすれば、国の社会制度は、計画よりも早く破綻を迎えることになる。
まして、その制度を支える将来的な生産年齢人口の元となる出生数が、予測を大きく上回って減っている中では、なおさらだ。
人口は複利で増減するから、この4%の未達は、日本の未来に非常に大きな影響を与えることになる。


最後は、当機構の活動にも大いに関係するが、「このままでは、国の制度が持たない」ということだ。
そして、その対策の1つとして、シニアの雇用を大幅に増やす必要があるということだ。


シニアの雇用機会を増やすことは、「国に支えられる側の人に、国を支える側になってもらう」という、企業で言えば費用を減らして売上を増やすくらいの2重の効果がある。さらに、個人としての生きがいも、公的な社会貢献性も、社会とのつながりの維持という効果もある。一石二鳥どころか、一石五鳥くらいの効果があり、即効性もある、特効薬なのだ。


だから、我々は「事業承継問題の全面的解決」に挑む傍ら、このシニアの雇用機会を10万人単位で創出することを目指している。我々が5000社承継する傍らで、1社20人のシニアを雇用すれば、10万人になる。
この10万人が、もし雇用されていなければ1人当たり年間500万円の国費(年金、医療費)を必要とすると仮定した場合、当機構は毎年5000億円の国費を国のために削減することに貢献することになる。同時に、10万人にやりがいや生きがい、社会とのつながりを維持する場を提供しながら、だ。それがどれだけ社会的にリアルなインパクトを提供するか、子や孫の現実の生活に影響を与えるか(SDGsやESGという流行り言葉ではなく)、そして、当機構がこの活動をしなければ逆にどれだけのものが失われるのか、ひとつ想像してみて頂きたい。


当機構は、事業承継問題の全面的な解決を通じて、「雇用」「経済」「安全」を子や孫に残すことを目指している。
中小企業を承継し、次の世代につないでいくということは、ヒトの生活、営みを次の世代につないでいくことだ。
そして、それは積み重なれば、国を次の世代につないでいくことでもある。


「積小致大」という、二宮尊徳の言葉がある。
「中小企業を維持し、国民の営みを維持し、もって国を維持する」という意味で、事業承継問題を全面的に解決するということは、まさに積小致大の活動だ。


もし読者の中にシニアの方がいて、まだもう少し世のため人のために働こうという方がいたら、ぜひ当機構と共に働きませんか?
(エントリーは当機構のHPからいつでもできるようになっています https://jigyosyokei.co.jp/business/challenge/ )


大きな流れをよく読み、その流れの中で具体的かつ実現可能な最適解を編み出しながら、今日も目の前の企業1社1社の事業承継に、全力で当たっていこうと思う。

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