面白い題の本だったので、思わず手に取って読んだ。
・・・が、読んでみて、これを真に受ける人が出てくると、その人も、家族も、社会も不幸になると感じた。
この本に書いてあることは、「薬剤師が薬局を引き継ぐ」、「歯科医が歯医者を引き継ぐ」等、
限定された有資格者が、確立された安定的なビジネスを継ぐようなケースでなら、ありだと思う。
(それが300万円でできるとは思えないが・・・)
だが、普通のサラリーマンが、軽い「運用」の気持ちで、
普通の99%の小さな会社を一人で買うのは、やめた方がいい。
なぜか?理由は3つある。
①利益にならない、②家族を不幸にする、③社会の迷惑になる、だ。
①利益にならない
こういう書籍は大抵、「(あたかもワンルームマンションを買うように)300万円で会社を買えば、
年金代わりになる。あなたの老後も安心!ラクな運用ですよ!」というトーンで書いてある。
しかし・・・そんな虫のいい話はなく、乗った人は損をするのが世の常だ。
小規模では、利益にならないのだ。
不動産投資に例えると、わかりやすい。
たとえば、300万円で地方のワンルームマンションを買えば、9割は損をする。
だが、3億円で都心のアパートを買えば、9割は利益が出るだろう。(ただし、目利きは必要だ)
そして、もし3000億円で丸ビルを買えたら、長期的には損することなど99%ない。
それは、会社でも同じだ。
だから、上場企業であれば、株主としてきちんと長期投資をすれば、大半の人は利益を得られる。
未上場企業投資のプロであるファンドも、経常利益5億円以上の会社しか対象にしない。
(そして、大きければ大きいほど、利益は出しやすい)。
当機構は、利益を追求していないので、その下限をさらに1/10以下に下げている。
だが、それでも経常利益3000万円以上の企業という目安は設けている。
(将来的にはもっと下げる予定だが)
安いものは安いなりの価値しかなく、利益にならないのだ。
また、不思議なことに、著者は、その小さな会社を継ぐことを自分ではやっていないようだ。
(そして、ファンド投資をやっている。本当に簡単で、利益になるなら、なぜ自分でやらないのだ?)
地方のワンルームマンションへの投資を投資家に進める悪徳不動産業者が、
自分ではその投資をしていない(自分は稼いだ仲介料で、都心のアパート投資をする)のと、
同じ図式のようにも思える。
②家族を不幸にする
上記の通り、利益を求めて、運用するような軽い気持ちで会社を買っても、利益は出ない。
が、会社を買えば、多くの義務と責任が生じる。結果、多くの時間を割くことが必要になる。
不動産と違い、会社は簡単に損切りするわけにもいかない(しようにも、転売は非常に難しい)。
経営も、ただ持っていればいい不動産と異なり、
経験のないサラリーマンが一人で片手間に出来るようなものではない。
結果、利益にならない仕事に、多くの時間と労力を割くことになる。
本業の会社を辞める必要だって出てくるかもしれない。
そうしたら、家族を不幸にする。
③社会の迷惑になる
会社を継ぐには、逃げない覚悟を決め、真剣に継ぐことが必要だ。
そもそもまともな創業者なら、大事な会社を真剣に継ごうとしないあなたを、決して選ばないだろう。
(もしそれでも選ばれたら、警戒した方がいい)
それでも、仮に選ばれて、あなたが会社を継いだとしよう。
でも上記の通りうまくいかず、うまくいかないからと会社を放置したら、どうなるか?
ワンルームマンション投資なら、あなたがお金を損するだけ。(自己責任で済む)
あなたが自分で責任をとって他の収入で返せばいいし、
社会的にも地方に空き部屋が一つできるだけだ。
(この放置不動産の空き家問題も、多すぎて社会問題になりつつあるので、
止めた方がよいとは思うが。。。)
だが、会社を継いだ場合、会社にはその給料で生活している従業員がいて、家族がいる。
そのビジネスで、相互に支え合って、生活している取引先もある。
その人たちの生活に対する責任を、あなたはオーナー社長として取らなければならない。
そこから逃げるなど、人として無責任すぎるし、出来ないのだ。
万一、その責任を果たさずに、不動産投資のような軽い気持ちで「放置」したら、どうなるか?
従業員や取引先に多大な迷惑をかけ、その生活を脅かすことになる。
その結果、あなたが世の中から「損切り」されることになるだろう(最悪、あなたの命が心配だ)。
社会の迷惑になるので、やめた方がいい。
中小企業の承継者になることは、軽い気持ちの「運用」としてできることではないし、やるべきでもない。
それをしたら、あなたも、家族も、社会も不幸になるだけだ。
また、そんなに簡単に誰でも承継でき、まして利益になるのなら、事業承継問題はとうの昔に解決しているはず。
しかし現実には、社会問題と認識されてから20年以上たった今でも、大きな問題として残っている。
歴史が証明しているのだ。
(同じことは、ファンドや企業のM&Aが、中小企業の事業承継の解決策にはならないことにも言える)
当機構のように、逃げない覚悟を決め、
短期資本主義とは一線を隔して自らの利益を削り、
子や孫の未来のために本気で挑戦していても、
時にやりがいがありすぎるほど難しいのが中小企業の承継であり、経営だ。
中小企業を承継するなら、最低でも、決して逃げない覚悟と、
社会的責任を持って会社を残していく本気さが必要だ。
その覚悟した方が、本気で「承継者」として中小企業を継ごうとするなら、当機構はいつでも力になる。
そのために、当機構では、下記のような仕組みも用意している。
① 資金/目利き/事務負担なし(当社専門家が実施)
② 実務80%減の経営支援(リーダーシップだけあれば可)
③ 責任の軽減・分担(連帯保証なし、取締役責任分担)
④ 資本/体制の安定(転売なし、長期最適の経営を追求可能)
逃げない覚悟を決め、本気で承継者になる気のある方なら、あなたは我々の同志かもしれない。
そういう方なら大歓迎。いつでもご連絡下さい。