先日、四国の経営者が集まるセミナーで、こんな2つの質問をした。
Q1「今から約150年前、大政奉還が起こった頃に、
日本の人口は何人だったでしょうか?」
さすが経営者層、よく勉強している。
正解者がいた。
答えは、3300万人。
つまり今の人口の約1/4だ。
で、次の質問。
Q2「では、今から約150年後、我々のひ孫が生きる2170年には、
日本の人口は何人になっているでしょうか?」
こちらは回答がなかった。。
(というより、、、笑いが起こった)
そう、皆さんのご想像の通り。
2170年の日本の人口のピンポイント予測はないが、
内閣官房の「地方創生の課題と展望(2019.5.25」発表資料によると、
最も人口が減少するシナリオでは、
2100年には3795万人になってしまう。
ということは、そこからさらに70年後には、
3000万人前後になってしまうだろう。
つまり、日本の人口は、
今後150年で、今の約1/4。
ひ孫の世代には、150年前の水準に戻ってしまうということだ。
そして、この人口減が、
事業承継問題の根っこにあるのだ。
わかりやすいように、単純化して話そう。
過去150年、人口が4倍になる時は、
1人の親方の下に、3人の弟子がついた。
その3人の弟子の中から、
優秀な1人が親方の後を継げば、
事業は継続出来たのだ。
では、今後150年は?
逆のことが起こると考えればいい。
つまり、3人の親方が後継ぎの弟子を採用しようとしても、
弟子は1人しかいないのだ。
(これが世間で採用難と言われる現象だ)
そして、事業承継という観点で言うと、
その1人が、3人の社長の事業やノウハウを全て継がなければ、
事業は継続できないのだ。
これが、事業承継問題の根っこに、人口減があるという意味だ。
じゃあ、どうするのか?
止められないのか?
残念ながら、日本の人口減は、当機構が止められる問題ではない。
成熟国で子供が減り、人口が減るのは、自然の法則に従った原則だ。
(とはいえ、フランスなどの施策に倣えば、
もう少し国の制度上出来ることはあるとは思うが。。。)
原則に逆らって戦っても、
敗れるのは常に戦いを挑んだ方だ。
原則は、決して破れることはない。
なら、どうするのか?
そこで、当機構は、1人が複数社の経営を継げるように、
また、創業者のようなスーパーマンでなくても、
普通の人でも会社を継げるように、
「経営シェアリング」という仕組みを用意した。
日本の人口減が問題の本質で、
かつ変えられない大きな流れと理解したうえで、
減少する人口を前提にしても成り立つように、
解決する仕組みを用意したのだ。
承継者には、現場でもっとも大事なリーダーシップを発揮してもらえれば、
それでいい。
経営に必要な他の要素は、当機構が全面的に支援し、
時には丸受けして代行するという仕組みだ。
これなら、人口が減る世界を前提にしても、事業を残せる。
世の中には、人の力では変えられない、大きな流れが起こることがある。
でも、その時にどう対応するかで、その人の本質が問われるのだと思う。
大きな流れと小さな流れ、
出来ることと出来ないこと、
やることととやらないことを見極める。
人としてやるべきことなら、
どんなに厳しい障害があっても、乗り越える方法を考える。
考えたら、失敗しても死なない規模で、すぐに行動に移し、実験する。
成果が出たら、残す。
成果が出なかったら再考し、修正する。
日々、この思考と行動をし続ける。
小さい失敗を早く多くして、常に修正しながら、前進し続ける。
余論だが、私はユニクロの柳井氏が描いた『1勝9敗』という本の本当の意味は、
「1勝するために、10回戦えるように準備して、挑まなければならない」
ということだと思っている。
それをさぼって、1回の戦いに全てを賭けて、
イチかバチか!の勝負をするから、多くの人は敗れるのだ。
松下幸之助も、「成功するには、成功するまでやることですなあ」
という名言を残している。
(精神論だけではなく、上記と同じ意味が含まれているのだと思う)
当機構が取り組むのは、
世界でも前例のない規模で起こる人口減という大きな流れに基づく、
事業承継問題への具体的な対応だ。
当然その過程では、
困難も、失敗も、これからも山ほどあるだろう。
だが、誰もしたことの無い大事に挑む時、
小さな失敗はつきものだ。
死なない失敗なら構わない。
我々がやらなければ、
ひ孫の世代の日本は、人口減に輪をかけて、
悲惨な環境になる。
それもまた、大きな流れの中で、明らかなのだ。
大きな流れを見据えつつ、日々小さな行動を積み重ねる。
日々具体的に、前進していこうと思う。