MESSAGE

FACTFULLNESS 事業承継

「FACTFULLNESS」(日経BP社)という書籍を読んだ。

 

なかなか読み応えのある本なので、ぜひ皆様にも一読をお勧めしたい。

 

特に、「ノーベル賞受賞者を含むインテリ層でも、世界の現状認識はサルにも劣る」

という事実を、明確に説得力を持つ数字で示した記述は、とてもインパクトがある。

 

いや、むしろ、インテリであるからこそ、数十年前に勉強した

「世界の人口の半分は貧困層で1日2ドル以下で暮らしている(1966年の事実)」

ことを覚えているのかもしれない。

 

「同クラスの貧困層は9%しかいない」

というのが、2017年時点の事実なのにも関わらず、だ。

 

 

知識は、常に自らアップデートしないといけないことを痛感した。

 

 

そして、この書籍のもう一つ面白いところは、

その誤りがなぜ起きるのかを、10の要因に分けて示しているところだ。

 

 

特に、「人は恐怖を感じると過剰反応するが、本当に大きな被害は、人が恐怖を感じないときに起こる」

という指摘は、とても共感した。

 

 

たとえば、こういうことだ。

 

 

例①:2015年のネパールの地震では、9000人が亡くなった。

 

これは世界的にも、TV等で大きく報道された。

 

しかし、同じ9000人が、毎10日間ごとに、主に汚染された飲み水が原因で亡くなっている。

 

その事実は、報道されない。だから、世の中にもよく知られていない。

 

年間で見れば、36倍以上の人が、毎年確実に亡くなっている。

より多くの人が、解決可能な要因によって、亡くなっているのに、だ。

 

 

また、こんな例もあった。

 

 

例②:アメリカだけで、過去20年にテロで3172人が亡くなっている。

1年あたり、159人だ。

 

他方、過去20年間に飲酒が原因でなくなった人の数は、140万人にのぼる。

1年あたり、7万人だ。

 

テロによるものの400倍以上の人が、

ごく身近な、防げる要因で、

毎年確実に亡くなっているのだ。

 

 

しかし人は、地震やテロを恐れるほどには、汚染水や飲酒を恐れない。

事実から見れば、そうすることがごく妥当であるのに、だ。

 

 

これでは、人もカエルを笑えない。

 

ゆでガエル状態になって動けないのは、実は人もカエルも同じなのだ。

 

 

これは、当機構が取り組む事業承継問題にも通じる問題であり、挑戦だ。

 

 

当機構の試算では、事業承継問題を放置した時に失われる経済は、20年で38兆円にのぼる。

これは、東日本大震災で失われた被害額16.9兆円(内閣府発表)の、2倍以上の金額だ。

いわば、10年に一度、人為的に同震災を起こしたのと同じくらいの被害が出る。

 

 

だが、震災に比べると、事業承継問題の認知はおそらく1/10以下だろう。

 

 

また、事業承継問題を放置した時に失われる雇用は、20年で1100万人にのぼる。

これは、大卒の新規就職者数(年42万人)の、26年分以上の人数だ。

いわば、今年生まれた赤子が26歳になるまで、大卒の新卒採用を一切辞めてしまうようなものだ。

 

だが、新卒採用動向の報道と比べて、事業承継問題の報道はどれだけされているのだろうか。

 

 

中小企業の事業承継問題は、個々は小さいが、集合としては大きいのだ。

 

 

そして、その影響は、

地震やテロのように劇的な恐怖感を人に植え付けることはないかもしれないが、

汚染水や飲酒のように毎日確実に少しずつダメージを与え、

気付いたときには大きな影響が出て、もはや手遅れになってしまうのだ。

 

 

ただ、ここにひとつだけ、希望がある。

 

 

天災は人の力では防ぐことはできないかもしれないが、

事業承継問題は人の力で必ず解決することが出来る、ということだ。

 

 

人は、理解すれば、行動できる。

当機構が、多くの人と共に行動することが出来れば、

事業承継問題は解決できるのだ。

 

 

ただ、理解してもらうためには、まず知ってもらう必要がある。

 

 

だから、今後当機構では、勉強会や交流会を、定期的に行っていくことにした。

 

 

関心のある方は、当機構のHPから参加希望の旨と連絡先をお教えいただければ、

適宜ご案内をしていきたいと思う。

 

 

「事業承継問題は、決して他人事ではない」という事実を、

世の中にどうわかりやすく伝えていくか、

これからもブログで、ネットで、メールで、新聞で、テレビで、雑誌で、書籍で、、、、

色々な方法で伝えていこうと思う。

 

それも、当機構の重要な使命であり、挑戦だと思っている。

関連記事

TOP