米国大統領選が佳境を迎えている。
どちらが勝っても紙幣のバラマキは当面変わりそうにないが、
1つ気づいたことがあるので、共有しておきたい。
それは、これまでにこのブログでも何度か指摘してきた
「資本主義 vs 民主主義」の構造問題が、
米国大統領選にも色濃く表れているということだ。
そして、有名な「囚人のジレンマ」の構造もそこに加わり、
「資本主義が民主主義を凌駕している」
(だから資本主義が暴走している)
ということだ。
資本主義が民主主義を凌駕するとは、
端的に言えば「カネが人より優先される」という、
人間の常識に反する事態になってしまっているということだ。
私がここ数年感じてきた違和感の正体が、
米国大統領選を通じて、だいぶ見えてきたと感じている。
どういうことか?
まず、現代の資本主義は、
「株主に利益をもたらす」ことを至上目的としている。
(SDGs等はコンセプトが出来たばかりで、
現世の99%はまだ何も変わっていない)
その「株主に利益をもたらす」ための方法は、
歴史的に2つしかないことが判明している。
すなわち、①新しい良いサービス/モノを作るか、②他人の富を奪うか、だ。
そして、「早く、ラクに儲ける」ことを目的とする
ようになってしまった現代の強欲資本主義では、
どちらがより選ばれるか?
当然、②である。
(なお、巨大IT企業は、①と②の両方を兼ね備えている。
だから、一部の株主に、驚異的な速さで、莫大な富をもたらしている)
②の結果、富はどんどん貧者から富者へ移転し、
一部の株主に集中する。
これが、ビル・ゲイツやバフェットも認めている、富の集中問題だ。
ある学者の研究によると、現代資本主義の理想形は、
「1人の株主に世界のあらゆる富が集中すること」だという。
(そして、それは数理的に証明できるらしい)
他方、この資本主義の欠点を、
長年にわたり牽制し、是正してきたのが、
「一人一票、多数決で政策を決める」という、民主主義である。
特に、製造業が利益を稼ぐための中心的な産業だった過去には、
ブルーワーカーとしての「労働者」がその必須要素だったこともあり、
株主への富の集中も限定的だったため、
民主主義には力があった。
だから、うまく資本主義を牽制し、是正するブレーキの役割を果たすことが
出来ていた。
ところが、ITやロボットの進化により、
2000年頃からブルーワーカーとしての「労働者」の価値は激減した。
企業は、もはや単純労働者なしでも、富を生めるようになったのだ。
(これは、経済的には、労働者から株主が利益を奪ったともいえる)
その代表が、少人数で莫大な富を生み、支配しているIT企業であり、
また大規模なITやロボットの導入、有効活用ができる大企業である。
結果、貧富の格差は、年々拡大する一方になってしまった。
今や、米国の3.28億人のうち、
上位たった3人が、
下位50%(1.64億人)と同等の資産を持っている。
そして、それは世界でも同じだ。
世界人口72億人に対し、
上位のたった26人が、
下位50%の36億人と同等の資産を持っているのだ。
さらにここに、「囚人のジレンマ」が加わる。
どういうことか?
下位50%の人の「1人1票」は、今や金で買えるようになったのだ。
上記数%の株主にはそれだけの富が集まっており、
下位50%の人はそれに応じてしまうようになったのだ。
本来なら、下位50%の人が一致団結して不平等を訴え、
その通りに投票すれば、多数決で勝ち、制度を変えられる。
だが、カネの誘惑に応じないと飢え死にしてしまう人や、
カネをもらって自分だけ勝ち組になろうとする人は、裏切る。
その裏切りが多ければ、カネの力で、投票結果は決まってしまう。
(これが囚人のジレンマ、だ)
その1例が、バラマキ政策だ。
米国大統領選の両陣営ともに、
票集めのためであることをもはや恥じることも隠すこともせず、
「紙幣のバラマキ(歴史上最大の財政政策)」を、
恥じることなくアピールしている。
そして、その広告のための金額も、
過去最高を大きく更新している。
これが「資本主義が民主主義を凌駕している」ということだ。
では、どうすればよいのか?
その答えは、ある。
それは、歴史の中に示されている。
カネがヒトを支配した時代は、世界の歴史上、何度もあった。
決して今回が初めてではないのだ。
だが、それは一時的には成立しても、必ず崩壊した。
決して、長続きはしなかったのだ。
なら、今後どうなるのか?我々はどうすべきなのか?
長くなってしまったので、そのあたりは次回書いていきたい。