先日の支援者の会は、渋澤健氏を迎えて、大盛り上がりだった。
論語と算盤の「と」が最も重要という話から、現代の資本主義の貢献と限界、さらに資本主義外に外部不経済として放置されることで悪化する一方の環境問題や格差問題、事業承継問題をどう解決するか、その具体的な方法に至るまで、広く深く遠いディスカッションをすることができ、視聴者の方からも「新しい気付きが数多くあった」「(スピーカーの)志と熱量に感動した」というお声を多数頂いた。出席者としても、とても楽しく有意義な時間であった。ここのところ、コロナ対応でオンラインの会が主体になっていたが、やはり、ゲストを迎えてリアルで会を行うと、より実のある会になることを改めて実感した。ご多忙な中、ご参加頂いた渋澤健氏には、この場を借りて改めて御礼を申し上げたい。
さて、その会の際に、時間の都合で十分にお答えできなかったのが、オンラインで頂いた上記の質問だ。 だが、投資すべきか否かをご検討頂くうえで、多くの方々が気になっている質問だろうし、当方としてもきちんとご説明して、十分にご理解いただいた上で支援者になって頂きたいので、今回は主な投資リスクについて説明させて頂きたい。なお、今回は特にポイントを絞り、重要な3つのリスクについてのみご説明させていただくので、その点は事前にご了承頂きたい。(詳細については、資料請求をして頂いた方にお送りしている法定書面である「重要事項説明書」や「約款」に記載されているので、そちらをよくお読みください。)
まず第一は、「元本割れのリスク」だ。事業承継未来ファンドの投資対象は「株式」である。そのため、上場株式と同じく、その価値は日々変動するものであり、リターンが保証されたものではない。また、銀行預金とも異なり、元本保証されたものでもない。さらに、上場株と異なり、日々市場で見える値段が付くものでもない。つまり、リスクアセットだということだ。だからこそ、普通の一般個人が直接投資するのは、とても困難だし、勇気のいるアセットだ。そして、この困難さが、事業承継を行う上での一番の障害にもなっているのだ。つまり、事業承継を行うにはどうしてもその株式を引き継ぐことが必要だが、その株式は元本保証ではなく、価値が日々変動し、かつその価格は見えにくいのだ。だが、そこにリスクがあるからと、誰も投資しなかったらどうなる?当然に、企業は引き継がれることなく、潰れていく。その結果、雇用も経済も失われ、日本は巨大な渦に呑み込まれ、奈落の底に真っ逆さまに落ちていく。
この問題を解決するために、当機構は「事業承継未来ファンド」を創り、「支援者」向けにご提供しているのだ。高度に訓練された専門家でなければ未上場株の価値がわからないなら、我々自身が専門家集団として、その価値を代わりに読み解き、投資機会にして一般個人の方にご提供すればいい。当機構では、事業承継問題の全面的解決を目指しながら、運用業者としてその投資リスクを最小化し、またリターンをより確度高くご提供できるように、最大限の努力を日々行っている。
さらに、その一般個人の方を単なる投資家ではなく、「支援者」とお呼びしていることにも意味がある。この投資は、カネ儲けだけを考える方が、行えるような投資ではない(そんな方々のお金を扱いたいとは、我々も思っていない)。ただのカネ儲けが目的なのであれば、このようなリスクを負うことは多くのヒトにはできないだろう。だが、それが子や孫のためであるなら、どうだろう?もう1歩、踏み出しやすくなるのではないだろうか?本気で中小企業を支援し、子や孫の未来を護り、ひいては日本経済全体を支援しようという方、そのためにリスクを取って投資することが出来る方を、我々は「支援者」とお呼びしている。そして、支援者の方々とともに、我々は事業承継問題の全面的解決を目指したいと思っている。そんな思いを込めて、我々は本ファンドの投資家の方を「支援者」とお呼びしている。
第二は、「流動性のリスク」だ。本ファンドへの投資は、運用期間終了までは解約できないし、譲渡もできない。つまり、一度投資したら、返ってくるまで動かせないのだ。そして、その期間は5~10年と長期にわたる。だから、目先の生活に必要なお金や、5年程度で確実に必要になるお金を、本ファンドへの投資に充当すべきではない。10年放置しておいても困らない資金の範囲で、投資して頂きたい。
なぜ10年もかかるのか?また、5~10年と期間が変動するのはなぜか?それは、本ファンドのリターンは、対象会社の事業から生まれるキャッシュフローから生じるためだ。対象会社の事業は、日々様々な経済変動等にさらされるため、当然ながら先が読めない。だから、その事業の結果として生まれるキャッシュフローも、当然に先が読めない。だから、そのリターンは不確実だし、期間も未確定なのだ。業績が良ければ短くなるし、業績が悪ければ長くなるというわけだ。そして、このキャッシュフローを読み解くのは、天気予報をする天気予報士と同じくらい、専門的な能力がいる(そして、そう簡単に当たらない)。それを、当機構では、多くの経験豊富な専門家が、多方面からの広く・深く・遠い検証を行って、読み解いている。
第三は「投資対象のリスク」だ。上に書いた通り、専門家が高度な分析・検証を行っても、予想は予想だ。企業のキャッシュフローが変動する要素は山ほどあり、すべてを読み解くのは不可能である以上、その予想は簡単にあたるものではない。だから、当機構では、真剣に予想はするが、予想が天気予報程度にしか当たらないことを前提として、いくつもの補完策を取っている。その1つが、たとえば「シナリオの範囲分析」というものだ。10年間にわたる1つの業績シナリオを正確に予知するのは、神でも不可能だ。だが、相応な確率でこの範囲になら入るだろう、という複数のシナリオの範囲分析をすれば、当たる確率は上がるし、その変動要因も見えるからだ。
また、「安全余裕度」という概念も大切にしている。上記に述べたシナリオ分析に、さらに最悪の事態を想定して、いくつものストレスをかけるのだ。かけるストレスは、業種や企業によって異なるが、たとえば5年に一度、売上が半分になってもキャッシュフローが回るように、事前に準備しておく。売上が半分になる理由が何かは、事前にはわからない。だが、過去20年だけでも、ITバブル、リーマンショック、大地震、コロナ、戦争、、、etc.、etc.、5年に一度程度は、歴史上の事実として何かが起こっている。だから、そのリスクと衝撃度を事前に想定し、たとえその被害を受けたとしても生き残れるようなストレステストを事前に行い、生き残るための対策を事前に準備して、それがクリアできて初めて、当機構はその会社を引き受けるのだ。天気に例えるなら、大嵐に備えて事前に木窓を閉め、屋根の修理・補強をして、家に閉じこもって1週間生きられる水や食糧を事前に準備しておく、のと同じ作業だと思ってもらえばいい。事前に最悪に備え、日々最良を求めて行動する。それが我々の行動指針だ。
なお、投資家にとっての「投資期間」というのは、資金提供を受ける会社にとっては資金を扱わせて頂く「猶予期間」でもある。その猶予期間を、支援者が中小企業を支援する気持ちをもってリスクを取って提供するから、支援者の資金は事業承継問題の解決に役立つのだ。これも、社会や子や孫の未来のことなど全く考えずに、目先の自分のカネだけを短期で追うデイトレーダーなどには、到底できる投資ではないだろう。
以上のように、本ファンドへの投資には、様々なリスクがある。だが、そのリスクを皆が忌避していたら、事業承継問題はいつまで経っても解決しない。そして、見て見ぬふりをして、このまま中小企業が潰れていくのを放置しておいたら、いずれ全国民が、特に子や孫の世代が、そのしっぺ返しを受けることになる。だから、リスクがあることをよく理解したうえで、「社会貢献しながら、資産運用する」という理念に賛同し、行動に移せる方から、「支援者」になって頂ければと思う。
すべては子や孫に、未来を残すために。