9月は、地方銀行2行との提携発表を行うことができた。
当機構は、今後も全国47都道府県に、
それぞれ1行以上の提携銀行をつくっていく方針だ。
なぜか?
それは、第一に、地銀が
事業承継問題の重要なステイクホルダーであるからだ。
多くの地方銀行が、
「地域のために、地域とともに生きていく」
ことを使命として掲げている。
その地域内で、主な顧客である中小企業が残れるか、
それとも廃業してしまうのかは、
地方銀行自身にとっての存否にも関わる重要な問題だ。
我々は、そんな地方銀行とともに、
目先の金儲けのためではなく、
地域のための事業承継を推進していこうと活動している。
9月に提携を発表した2行は、
ともに頭取が地元のことをとても真剣に考えていた。
だからこそ、我々からのご提案にもいち早く反応頂き、
すぐに行動につながったのだと思っている。
地方銀行と当機構との提携が為されれば、
その地域内での事業承継問題に、
新たな解決策を提供することができる。
その結果、その地域の事業承継問題は、
他地域よりもずっと早く解消していけるだろう。
また第二に、地方銀行は、
10年単位の長期的なスパンで、
本当に地元のためになるのかを考える存在である点で、
当機構の理念と合致しやすい。
自分の目先の利益を負うよりも、
地域の長期的な利益になることを追求する方が、
結果として取引先を残すことができ、
ひいては地方銀行のためにもなるからだ。
たとえば、地元の優良企業を、
中国や都会の金持ち企業にM&Aで売却することを推奨したり、
転売前提のファンドへの売却を推奨することが、
まだまだ多くの地銀で、
「事業承継問題の主な解決策」として推奨されている。
だが、それが本当に長期的に地域のためになるのか?
それで、本当に地元に雇用や経済を長期間残すことができるのか?
よく考えてみてほしい。
すでにいくつかの地銀は実例を通じて気付いているが、
そんなケースは、ごく稀にしかない。
大半のケースでは、おいしいところは、
中国や都会の金持ち企業にごっそり持っていかれる。
そして、地元の元優良企業は、
いつの間にか廃れていくのだ。
(金持ちの買い手は、慈善で買うのではない。
おいしいところがあり、
それを自分のものにすれば儲かるから、高値で買うのだ。
よく考えれば、当然のことだろう?)
だがそれでは、地方銀行として、
目先の紹介料を多少稼いだとしても、
地域内の取引先の衰退や雇用の減少を引き起こすことになり、
将来の自行の首を絞めることになる。
自行の大事な取引先でもある地元の優良企業を、
中国や都会の金持ちに喜んで差し出すようなものだからだ。
それは、
銀行のためにならないし、
地域のためにもならない。
地方創生どころか、
地方衰退を推進してしまうことになる。
その点に気づいた地方銀行ほど、
当機構との提携は早く進む傾向がある。
当機構は、
「地域内の企業を、地域内の独立企業として残していく」
ことにコミットしているからだ。
企業間のM&Aを全面否定するつもりはないが、
そこには負の側面もある。
そして、M&A以外に、
当機構と提携することで事業承継問題を解決する
方法があるということを、
一刻も早く、より多くの地方銀行に、
気づいて頂きたいと思っている。
銀行のために、
地域のために、
そして何より、
子や孫の未来のために。