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中小企業の社長として絶対必要なリーダーシップとは?

最近、後継社長塾等において、よく聞かれる質問がある。
「(中小企業の社長として絶対必要な)リーダーシップとはなんですか?」という質問だ。

当機構では、後継社長になるハードルを下げるために、「経営シェアリング」という仕組みを用意して、後継社長の業務負荷を大幅に軽減している。ただ、「リーダーシップだけは絶対に必要」と伝えている。
なぜかというと、リーダーシップは「人を動かす」ことに直結するため、外部委託が困難だからだ。そのため、この質問が出てくるのだろう。

では、「リーダーシップ」とはなにか?
結論から言うと、当機構では、「社員等に認められ、結果を出すこと」と定義している。「リーダーシップとは?」というのは、経営学史上も諸説ある神学論争的なテーマだ。そのため、一言で表すのが難しい質問でもあるが、良い機会なので整理しておきたい。
まず、一般的な日本語としてのリーダーシップとは何か? 広辞苑では、下記の通り定義されている。

・指導者としての地位または任務。指導権
・指導者としての資質・能力・力量。統率力

だが、この広辞苑による2つの定義は、当機構が求めるリーダーシップとはだいぶ異なる。リーダーシップとは、たしかに地位・能力・力量等を含むが、それだけでは不足だからだ。

次に、経営学者のピーター・ドラッカー氏の定義によると、下記の3点が挙げられている。

リーダーシップとは、
1.仕事である(not素質、能力)
2.責任である(not地位・特権)
3.信頼である(つき従うものがいること)

このドラッカー氏の定義の方が、当機構が求めるリーダーシップに近い。
まず、「仕事」であり、「責任」であること。(素質・能力や、地位・特権ではない。ここは、大企業出身の方には、特によくご理解頂きたい)そして、もっとも大事なことは、「信頼であること。すなわち、つき従う者がいること」だ。書籍『事業承継プラットフォーム』でも書いたが、そもそもリーダーの本質的な定義は、「つき従う者がいる人」ということだ。リーダーか否かは、本質的には本人や地位が決めることではない。「他人の信頼を得て、ついてきてもらえる人物か」で決まるのだ。たとえば、仮に地位や職責として、株主が社長というリーダーに任命したとしても、社員の信頼を得られずに社員が全員辞めてしまい、社長1人になってしまうようなら、それはリーダーとは言えないだろう?
そして、ここに大企業と中小企業の大きな違いがある。中小企業のリーダーシップには、大企業よりも難しい点があるのだ。どういうことか?
中小企業では、大企業と比べて、圧倒的に人が少ない。そのため、社員1人当たりの重要性が、相対的に高いのだ。
たとえば中小企業では、キーマンが1人辞めるだけで事業が回らなくなり、廃業や倒産に至ることがある(大企業では、一部門長が辞めても、いや、仮に社長が辞めたとしても、ほとんどの場合大した影響はない。十分な代替人員がいるからだ)。
そもそも中小企業では、新卒がなかなか採用できないため、人員不足が常態化していることが多い。社員が辞めた場合の中途での補充も、困難なことが多い。この人材の代替性・補完性が、新卒の応募が安定的に募集人数の数倍あり、中途採用も資金力を使って容易に出来る大企業とは、本質的に大きく異なっているのだ。つまり、社員1人当たりの重要度が中小企業の方がずっと大きく、代替要員もいないから、中小企業ではリーダーシップがより重要なのだ。中小企業の社長は、その重要な社員の信頼を得られる人でなければ、根本的に成り立たないのだ。

「なぜ皆はあなたに導かれ、従わなければならないの?社長?」
この質問は、多くの大企業の社長やCEOをドキッ!とさせ、困らせる質問だという。だが、この質問にスッと答えられる人が、真のリーダーシップを持つ人だ、と当機構は考えている。

以上から、当機構が求めるリーダーシップとは、下記の通りである。
「社員等にリーダーとして認められ、結果を出すこと」

なお、経営学に詳しい方向けに言うと、大企業でいう「マネジメント」も、中小企業のリーダーシップには含まれる。大企業と異なり、方向性を示し、命令するだけでは足りない。プレイングマネージャーとして、自分も社員と共に動くことが必要だ。具体的な方法は、人により、会社により、様々でいい。人によって、自分が先頭に立って切り込んでいくタイプの人もいれば、後ろから支えて全員を押していくタイプのリーダーもいるだろう。業界・地域・会社の文化や、社員の気質等との相性も大切だ(この点は、当機構でマッチングする際に考慮することで、対応している)。「あなたが対象会社の社員なら、社長にはどんなリーダーであってほしいか?」(逆に、どんなリーダーには、ついていけないか?)

後継社長になる人には、この質問を常に自問し続け、自己研鑽し続けて頂きたい、そう伝えている。この時、能力や性格もあるが、一番大事なのは、仕事への「熱意」「真剣さ」「誠実さ」だろう。「信頼」を得られるかどうかは、「能力」や「素質」よりも、「熱意」や「人格」にかかっているからだ。また、一度得た「信頼」を永続させるためには、事業で「結果」を出すことが必要だ。

熱意溢れる承継者の方々とお会いできるのは、当機構のメンバーにとってもうれしいことだ。当機構の事業をしなければ一生お会いする機会もなかったであろう、日本を代表するような大企業で社長等を務められた方々にも続々とご登録頂いており、とてもうれしく思っている。だが、我々が5000社の承継を実現していくためには、まだまだ足りない。より多くの熱意溢れる承継者の方々とお会いできることを、社員一同、心から楽しみにしている。子や孫に、未来を残すために。

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