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支援者の会 

8月2日に、1年ぶりに支援者の会をリアル開催することが出来た。さわかみ会長や西澤監査役にご登壇いただいたほか、当機構の新本社に30名強のお客様をお迎えし、さらにオンラインで40名ほどの方にご参加頂き、大盛況の会であった。中にはわざわざこの会に参加するために京都からご参加頂いた方もおり、質疑も活発になされ、当機構のメンバー共々大変うれしく思った。リアルの良さであるが、特に会場でご参加いただいた方々には、当機構の雰囲気を直に体感して頂くことが出来、また直接顔を合わせて交流することでその真剣さや熱量を感じて頂くことが出来たのではないかと思う。(動画をHPで公開しています。ご関心がおありの方は こちら からご覧下さい)

さて、その会の中で、当方からは前回ブログで書いた「事業承継と2035年問題」について詳しくお話ししたわけだが、西澤監査役とさわかみ会長からのお話の内容も素晴らしかったので、今回はその要旨をご紹介しておきたい。

まず、西澤監査役からは、「人を助けて人生100年」というテーマでお話しいただいた。その中で、特に印象に残った話が3つあった。

1つ目は、「あなたは何歳で死ぬと思っていますか?」という質問だ。(皆さんなら、どう答えますか?)会場では、当方から日本人の男性の平均年齢がは81.5才だということをご紹介した直後で会ったこともあり、「80才」「85才」などという声が多かった。それについて、西澤監査役は、「それでは甘い。不幸になる。」とバッサリ切った。なぜか?実は、日本人の1割近くは、100才まで生きるようになっている。また、医療の進化もあり、年々日本人の平均寿命は延びている。それなのに、80才で死ぬと思って生きると、思いがけず20年以上も長生きしてしまうリスクがある。その時、80才から100才までの想定外の20年を、どう生きるのか?。

20年というのは、今年生まれた赤ん坊が成人するほどの、長い長い時間だ。仕事を完全に辞めて、社会から隠居し、心もお金も準備せずに生きるには、あまりにも長すぎる時間だ。だから、西澤さんの助言は、「人は100年生きると思って生きるべきだ。それで、80才で死んだらハッピーだ。が、逆は悲惨になりうる」ということだった。西澤さん自身が、80才になったのを契機に、100才まで働けるようにコーチングの学校に通いだしたというのだから恐れ入る。大変説得力があるお話だった。

2つ目は、「仕事がいつもある人の4A」というものだった。仕事をするときに、一番大事なのは「能力がある(Able)」と思っている人は多いのではないだろうか?しかし、それは実は4番目ということだった。ビジネスをするうえで一番大事なのは「話しかけやすい(Affable)」ということだ。ビジネスでは、たしかに能力があることは必要だが、その能力も、まず会話がなければ発揮されない。つまり、必要条件ではあるが、十分条件ではないということだ。また、上流の「話す」という工程がなければ、下流の「(仕事を得て)能力を発揮する」という工程も生まれないということでもある。

西澤さん自身がいまも政府系を含めて数十の要職を務めているのも、まさに「話しかけやすくする」ということを第一にしているからだとのことだった。忙しい(特に若手の)ビジネスマンは、ともすると「能力向上」「自分磨き」などを優先して、「交流」をおろそかにしがちだが、それは逆効果になっているかもしれないというのだ。目から鱗が落ちた方も多かったのではないだろうか?

3つ目は、「〇〇にはどのように行けばよいのですか?」と聞かれたら、どう答えるか?というものだった。多くの人はきっと、「1つめの角を曲がって、2つ目を、、、」などと、行く道筋を答えるだろう。だが、西澤さんの答えは、「あなたは最終的にどこに行きたいのですか?」と、再度質問するというものだった。

その真意は、相手が本当に求めているものを理解するまで質問し、理解してから、回答する、ということだ。多くの人は、相手が本当に求めているものを理解せずに、ただ聞かれたことに応える。だが、実は相手も、自分が本当に何を求めているのかわからないままに質問してくることも、往々にしてある。医者がきちんと診断して、原因を確信してから解決策としての処方箋を書くように、人とのコミュニケーションにおいても、きちんと相手の真意を理解するまで何度も聞く。そして、真意を理解してから回答する、ということだった。

この3つ目は、当機構においても特に注意していることだ。当機構には、承継後の会社の経営をする「経営シェアリング」という仕組みがある。その仕組みを有効に活用するために、当機構の経営支援チームのメンバーに厳に求めているのが、まさに上記の「真意を理解するまえに、軽々しく助言しないこと」だ。

社長になると、日々多くの場面で判断に迷う。その時に相談相手がいるのは、よいことだ。だが、それは、その相談相手が、「(社長自身も理解していないかもしれない)社長の真意を理解し、その真意に対してリアルに役に立つ解決策を広く深く考えて、謙虚に提案する」場合に限られる。本質的に「手伝う」「助言する」ということは、実はとても困難で、難しいことだからだ。

また、さわかみ会長からは、「芸術は真の長期投資」という話があった。たとえば、15世紀にメディチ家の投資によって造られたイタリアのフィレンツェには、600年経った今、1000万人近い観光客が訪れている。そのリターンは、経済的にも国や地域を十分潤している(フィレンツェの住民は38万人ほどしかいない)上に、芸術を通じて非経済的な価値も十分に生み出しているという。15世紀当時は社会的に「浪費」と非難され、一時はメディチ家も追放に追い込まれたが、そのルネサンスや芸術への大規模投資は、結果的に、600年経った今も莫大なリターンを生んでいるというのである。

このように、常人にはわからない「浪費」であったとしても、それが結果として今の社会の重要な礎となっている例は、世の中に多数ある。「大事なのは、意志をもって自分のお金を使うことだ」というのが、さわかみ会長のずっと変わらぬ主張だ。我々も、意志を持った資金をお預かりして、子や孫のために使っている。さわかみ会長同様、その信念はこれからも変えずに事業を行って行こうと、改めて意を新たにした次第であった。

さて、次回の支援者の会は、初の地方開催を予定している。「地方でも、リアルで参加できる会をやってほしい!」という声にお応えして、10月21日に神戸の三宮で行う予定である。また、「創業者の生の声を聞いてみたい」という声にもお答えして、当機構が3月に承継した竹内グループの榎本会長と、同承継時にご助言頂いた会計士の井関先生をスピーカーとしてお招きしている。

当機構のメンバーも多数東京から駆けつけて、リアルに熱量をお伝えする会にしたいと思っているので、お近くの方はぜひ こちら からご登録いただき、ご参加頂ければと思う。多くの方々と直接お目にかかって意見交換できることを、いまからとても楽しみにしている。

 


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