読者の皆様、あけましておめでとうございます。
当機構のメンバー一同、
丑年においても猪突猛進で突き進んでいきたいと思いますので、
本年もよろしくお願いします。
さて、年末年始にかけて、うれしいニュースが2つあった。
1つは、ある大手ファンドが当機構のマネをして投資事業を開始したこと、
もう1つは、国が当機構の仕組を参考にして、新たな人材流動化事業を始めたことだ。
両方とも、当機構の活動が参考になったようで、とてもうれしく思う。
(そういえば、昨年は国やファンド関係者による当機構説明会への参加が多かった)
当機構の事業目的は、
自ら事業承継を行いながら、
他者にもそのやり方を広く示し、
子や孫のためによりよい社会を残していくことだ。
日本のためにはじめた当機構の活動が、
広く世の中に認知され、
国や大企業を含めて多くの追随者を生み出し、
社会活動としてより大きく広がっていけば、
社会に必要な企業をより多く未来に残すことが出来る。
そうすれば、子や孫の未来は、今よりもずっと明るくなる。
だから、志ある国や企業の参加は大歓迎だ。
もちろん、本家本元の当機構も、今年は昨年にも増して大きく伸びていくつもりだ。
ただ、投資家の方々には、
各社への投資を判断する際に、よく見て判断してほしいことがある。
(年始にふさわしいテーマだと思う)
1.その企業に「大義」はあるか?
2.その活動の「志」は何か?
の2点だ。
いまの言葉でわかりやすく例えるなら、
「SDGsに貢献する企業か、それとも逆行しようとする企業か」
でもいいだろう。
前回のブログでも書いた通り、
投資家の投資は、大なり小なり、
世の中を動かす力(インパクトファイナンス)になる。
あなたが投じたお金は、
「世の中を良くも悪くも、必ずどちらかの方向に動かす」のだ。
だから、少し大げさに聞こえるかもしれないが、
「あなたの投資がつくる結果の世界については、あなた自身が責任を持つ」
つもりで、投資の是非を決めてほしい。
(世の中を動かしているのはだれか?それは大統領や一部の権力者だけではないのだ)
この点を知らないと、あなたは知らぬ間に、
「世の中を悪くし、SDGsに逆行するために投資してしまう」
かもしれないからだ。
(あなたが機関投資家なら、あなた自身もSDGsを問われるだろうから、
当然によく考慮しての投資行動だとは思うが、念のため)
わかりやすいように、例をあげて説明しよう。
仮にある企業が当機構のマネをして、
「地域密着型で、生活維持に欠かせない事業の承継に取り組みます」と言い、
たとえば「地方交通企業の承継」に集中的に取り組んだとする。
そして、運よく成功して一定程度の規模になり、
事業として成立したとしよう。
問題が発生するのは、その先だ。
もしこの企業の「志」が、
「株主のためのお金儲け」であり、
それを最優先する企業だと、何が起こるか?
株主の利益確定のために、
企業を丸ごと高値で売却してしまうだろう。
あるいは、会社に無理を強いて、
高値でのIPOを目指すかもしれない。
(IPOとは、株主の利益確定のために会社を売却する手法の1つに過ぎない)
株主のために最も高値で売ろうとすれば、
それこそ「〇オク!」で扱う古本などのように、
オークションで競りにかけ、
最も高値を提示したヒトに売るだろう。
いや、彼らにとっては、もはや相手はヒトでなくともかまわない。
「相手が犬でもごぼうでも、
高値を払ってくれるのなら喜んで売る。
それが経営者(ファンドマネージャー)としての、私の仕事だ。」
一般の読者は唖然とするかもしれない。。
が、これは私がある経営者から、実際に聞いた言葉だ。
(こういう企業やファンドマネージャーにとっての「大義」や「志」とは、
自分かおカネもうけをするための方便に過ぎない。
そして残念ながら、こういう人は世の中には驚くほど多く、また、年々増えている)
さて、上記の理屈で、
株主(や経営陣)の利益のためだけに、
最高値で買ってくれる相手を探すとどうなるか?
たとえば、中国の企業が買うかもしれない。
(政府の資金援助を得られる中国企業は、一般の企業とはけた違い資金力を持つからだ)
もしくは、他のファンドが買うのかもしれない。
(ファンドにはバブル下でカネが余っている。
そして、高値を出しても使わなければならないところも多くある。)
すると、子や孫の未来はどうなるか?
日本の地方を支える多くの交通機関が、
その企業の従業員や拠点の土地等を含めて、
ある日突然、
中国企業のモノになってしまうのだ。
それは、株主や経営陣が得るカネと引き換えに、
日本の人員や国土を中国に売却することに等しい。
(国防的にも望ましくないと思うが、読者の皆様はいかが思うだろうか?)
もしくは、ファンドが買い、株主利益を優先して、
より行き過ぎた富の再配分(レントシーキング)を
行うかもしれない。
そうするとどうなるか?
赤字のバス便などは、どんどん廃止・削減される。
住民にとってはますます不便になるだろう。
地方の雇用も「効率化」「集中化」「IT化/DX化」の掛け声の元に、
減らされるだろう。
運転手の賃金も凍結される。
新規の車両投資はされず、修理費も大幅削減だ。
(その結果、事故が多発し、死傷者が出るかもしれない。)
そして上記で搾り取った分を、株主や投資家(そして経営陣)に分配するのだ。
その行為は、
たとえ株主利益を生んだとしても、
1円の富も生みはしない。
(むしろ富は減ることの方が多い。
他者の利益を奪う結果、他者の協力を得られなくなるからだ)
それは、株主や経営陣が得る金と引き換えに、
顧客の安全や、従業員の雇用、取引先の利益等を、
強引に奪っているにすぎない。
だが、その会社の株主や経営陣は、こう言うだろう。
「おカネ儲けは悪いことですか?」
「法律で禁じられているわけではありませんから」
「長期的なことや、大局的なことは、私には関係ありません。
私だけが短期でがっつり稼げれば、それでいいのです」
それは、残念ながら禁止されてはいない。
(少なくとも、いまのところは。)
だが、あなたは一個人として、一日本人として、
本当にそんな未来創りに自らの大切なおカネを投じ、
貢献し、協力したいのだろうか?
それで、子や孫に胸を張って、接することが出来るのだろうか?
あなたは、その投資家に資金を提供した見返りに、
ある程度のリターンは得られるのかもしれない。
だが、その分、子や孫の未来を確実に奪ってしまうのだ。
また、あなたがお金を預けている機関投資家(銀行や生保、郵貯等)はどうだろう?
子や孫の未来を犠牲にして、SDGsに逆行して、
目先のカネカネを優先して投資しているのだろうか?
(それが、未来の子や孫から搾取しているに等しい、
SDGsに逆行する行為だとしても?)
それとも、社会貢献と投資利益のバランスを検証し、
SDGsへの取り組みを投資判断に反映して(掛け声やバッジだけではなく)
子や孫の未来のことを考えて投資しているだろうか?
古いギリシャの言葉に、こんな名言がある。
「天使の声はあまりにも明確で、
誰一人として聞き間違えることは絶対にない。
ただ、その声はあまりにもか細いから、
無視しようと思えば、簡単に無視できる。
ただし、無視すれば、相応の罰を受けることになる。」
今、時代に問われているのは、
人々の良心であり、倫理観なのだ。
当機構が取り組む「5000社の事業承継」は、
「雇用・経済・安全を子や孫の未来に残そう」という「大義」と、
「6WIN」や「残りかすの利益は、文化や伝統の維持に使い、
お金のかっこいい回し方を子や孫に示す」という「志」の、
両方をセットで持たなければ、
真の「富」を生む活動にはならないのだ。
我々は、真の意味での富の維持・創出を目指している。
(それは、ごく一部の株主や投資家のために、
レントシーキングで利益をかすめ取る活動とは、本質的に大きく異なる。)
この2つの違いを、ぜひ投資家の皆さんには、よく考えてみてほしい。
そして、この2つを見極めるのに、わかりやすい方法が1つある。
それは、「時の審判に耐えているかどうか」だ。
さわかみグループは、
「志」「大義」に基づいて真の富を生み出す活動を、
創業以来20年以上も続けてきた。
その活動には確固たる実績があり、しかも年々拡大している。
その理念と実績を土台として、当機構は設立され、活動している。
(そんな企業グループは、今の日本には数えるほどしかない。特に、金融業界では)
今後も雨後の筍のように、当機構のマネをする企業は出てくるだろう。
だが、投資家の皆さんには、
「大義があるか?」「志は何か?」をよく見極めてほしい。
また、当機構の活動にご協力頂いている企業や金融機関は、
「大義」、「志」、「SDGs」といった、
本来人間が持つべき当たり前の価値観を大切にしていこう、
積極的に残していこうという、
SDGsに本当に積極的な企業や金融機関だ。
(逆に、SDGs活動を上辺だけでやっているフリをしている
企業や金融機関とは、どうも当機構は相性が悪いようだ)
新年にふさわしいテーマだと思うので、ぜひ皆様にも、
投資を行うにあたって「志」や「大義」を検討することをお勧めしたい。
「志」や「大義」とは、
キャッチコピーや美辞麗句の話ではない。
最終的に世の中をどう動かすかを決めるのは、
あなたの(そしてあなたが選んだ投資先の)
「志」と「大義」だという、
超現実的な話なのだ。
小さな目先の自分のカネカネにばかりこだわらず、
自分の投資が、
「世の中を良くも悪くも、必ずどちらかの方向に動かす」
という美意識を持って、
多くの人が投資判断をするようになれば、
子や孫の未来はずっと明るいものになっていくだろう。
今年も、そういった当たり前の価値観を共有できる
新たな企業、金融機関、投資家、承継者、仲間たちとの出会いや、
ともに「子や孫のために未来を残すため」の活動を進めていけることを楽しみに、
全力で進んでいきたいと思う。