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事業承継問題の全面的解決を加速するために、さわかみグループから卒業

すでにニュースリリース(https://jigyosyokei.co.jp/news/)等でご存じの方も多いだろうが、当機構は2022年12月12付けでさわかみグループを卒業した。あわせて、社名も「株式会社事業承継機構」と、シンプルに変更した。「なぜ?」とご質問を頂くことも多いので、今回はさわかみグループからの卒業の背景について、ご説明させて頂こうと思う。

まず卒業に当たり、2018年11月の当機構設立から約4年にわたって多大なご支援頂いたさわかみグループの皆様、特に澤上篤人氏と澤上龍氏には、心からの感謝を申し上げたい。本件卒業に当たっての澤上会長から頂いたレター(https://jigyosyokei.co.jp/news/n20221212-2/)にもある通り、「社会的に重要だが、一般の方にはよくわからない事業アイデア(会長の言葉を借りると「海のものとも山のものとも知れぬ吉川の夢」だったそうだ(笑))」、そして「多額の資本が必要だが、世に溢れている「儲け目的だけの強欲資本主義マネー」は使えない事業」、そんな当機構の事業を立ち上げて軌道に乗せるには、さわかみのような「志を持つ資本=ソーシャルキャピタル」を提供してくれるパートナーが、絶対に必要だった。しかも、さわかみグループは資本だけでなく、初期の立ち上げに必要なオフィスや人材まで、惜しみなく提供してくれた。その点で、さわかみグループは当機構の「生みの母」であった。さわかみグループなくして当機構が生まれることはなく、既に現実にも成果が出てきている「子や孫のために雇用と経済を残す」という社会成果もなかった。母が居なければ、子は生まれないのと同じことだ。その点で、澤上会長、龍さんをはじめ、さわかみグループの皆様には、大変感謝している。その感謝を、私は一生忘れることはない。

次に、さわかみグループからの卒業の経緯についてだが、これはさわかみにとっても当機構においても、当機構設立時から相互に理解していた共通の課題であった。皆さんには驚きかもしれないが、さわかみにも当機構にも「タイミングをいつにするか?」の問題であり、卒業は既定路線であったのだ。

では、なぜ卒業が必要だったのか?それは一言で言うと、「1つのグループ内に2つの金商業者(投資運用業者兼二種業者)があると、利益相反が発生する」からだ。

どういうことか?そもそも、個人の資金を受け入れられる「投資運用業者」というのは、日本全体でも400社弱しか存在しない、非常に限定された事業だ(そのほとんどが三菱、三井、野村等の金融財閥系だ)。個人投資家保護のための金融庁の非常に厳しい審査をクリアーしなければ、事業開始のために必要な登録すらできない事業なのだ。一般の方には、銀行や証券に次ぐくらい大変な審査を、事業開始の前に乗り越える必要があると思ってもらえばよいだろう。(※ちなみに、世に多数あるいわゆる「機関投資家向け限定ファンド」は、投資運用業者としての本登録を必要としない。ほぼ誰でも簡単な申告だけで始められる例外措置が定められているからだ。そして、これは上記の投資運用業者とは、全く異なるものだ)。

その厳しい規制の中で、たとえば大手のNアセットマネジメントとDアセットマネジメントという運用会社が同じグループに存在し、その役員を兼務することが可能か?答えは、法的にNOだ(当機構設立時にも、弁護士から同様の指摘を受けていた)。

なぜか?たとえば皆さんが、両社の役員を兼務しているとしよう。ある投資家を前にしたとき、あなたはどちらのファンドの販売を優先するだろう?どちらを優先しても、利益相反や、忠実義務違反が発生する。まして、片方を売って他方に乗り換えることを進めたりしたら、なおさらだ。

本卒業は、当機構が成長し、こういう利益相反や忠実義務違反が現実に起こりつつある状況になってきたために、その予防的解消を目的として行われたのだ。

でも、それは事前にわかっていたことではないのか?それを知りながら、なぜさわかみグループは協力したのか?(実際、私が声掛けをした大手他社は、どこも共同しなかった中で、だ)。ここが、まさに澤上会長が侠気を見せてくれたところであり、私も大変感謝している点だ。どういうことかというと、澤上会長は設立時に、こういう判断をしたのだ。

「弁護士の言う法的懸念は理解した。いずれ、卒業も必要になるだろう。ただ、まだ(設立時点では)投資運用業の登録は出来ていない、空想上の懸念だ。まずは、その懸念を現実にするくらい、やってみろ!さわかみとの利益相反が現実になるくらい、お前が頑張って事業を立ち上げ、投資運用業の登録を行い、現実に個人投資家から志のあるおカネを集めてみろ!」と。

その会長の決断のおかげで、当機構は立ち上がった。その侠気に応えるべく、私も寝食を忘れて、ただ愚直に大義を求め、がむしゃらに走り回った(4年のうち3年がコロナ禍で、走り回りにくかったのは事実だが・・)。その結果、設立3年目にして、ようやく投資運用業の登録を行うことが出来た。設立から4年が過ぎた2022年12月現在、当機構が運営するファンドは、個人投資家から約3億円の「志金」を、直接集めることが出来るようにもなっている。(桁が2つ3つ少ないので、結果には全然満足していないし、事業承継を大規模に進めるにも全然足りない。が、コロナの影響で直接対面が出来なかったことが主因であることは明らかだし、直接会っていない中で命の次に大事な資金を預ける決断が難しいのは、ヒトとして理解できる(その懸念を乗り越えて投資された方が、すごすぎるだけだ)。だから、来年は直接面会の機会を増やそうと思っているが、ここは論点が異なるので、別の回で書かせて頂こう)。

そして、その当機構への投資を検討される方の中で、ごく一部だが、「さわかみファンドの持ち分を売却して、事業承継未来ファンドを買ってもいいか?」という問い合わせも来るようになってきた。想定していた懸念が、当機構の成長により、現実のものとなってきたのだ。

当機構が順調に成長し、ちょうど当初目途としていた5期目に入ったこともあり、その予防的解消を目的として、今回の卒業が決まったのだ。本件卒業は、上記の通り、相互にとっては最初から理解していたことでもあったため、友好裏な話し合いの下で決定された。だから、会長も快く「(さわかみグループ卒業後も当機構の)さらなる発展を期待します。(皆様には引き続き)力強い ご支援とご鞭撻を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。 」というレターを、直筆の署名入りで出してくれたのだ。

他方、現場では、本件卒業プロジェクトにかかる事務作業は膨大で、年末に重なったこともあり大変だったが、当機構のメンバー全員の一致団結した頑張りのおかげで、なんとか無事に乗り越えることが出来た。メンバー全員の頑張りにも、心から感謝したい。

これで、設立時に懸念していた大きな仕組み上の課題は、ほぼ解消することが出来た。そして、今年までは、概ね計画通り進めてくることが出来た。(私は設立時に、20年に渡る詳細な事業計画を策定してから、当機構の事業を開始した。そして、毎年末に見直しをしている)。

来年は5年目。当機構の事業基盤と大きな仕組みを最初の3年で作り、4~6年目では大きな仕組みの試運転をしながら改善を重ねていくという計画の中盤の年に入る。すでに今年から、まだまだ構想に比して規模はごく小さいものの、現実社会において子や孫の未来に雇用と経済を残すというインパクトを、リアルな成果で出し、数字で示せるようになってきた。

事業承継問題を全面的に解決するには、いわゆる「倍々」では足りないので、当機構の中では「3倍3倍」を目標に掲げている。今年残した雇用は300人、経済は40億円だったから、来年の目標は雇用1000人、経済120億円、だ。来年はうさぎ年=跳ねる年。子や孫の未来のために、当機構としても跳ねる年にしていきたいと思う。

皆様(特に支援者の方々)、今年も当機構へのご支援ご協力、誠にありがとうございました。コロナ禍でもありなかなか直接お目にかかれる機会が少ないですが、来年はぜひ直接お目にかかって、お話させて頂く機会を増やしたいと考えております。なお、当機構の今年の営業は本日12/23(金)をもって終了とし、メンバー一同少し長めの休暇を頂いてフルチャージして、来年は1/4(水)から業務を開始いたします。

少し早いですが、皆様、Merry Christmas and Happy new year!

良いお年をお迎えください。

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