Profile
早稲田大学政経学部卒業後、丸紅株式会社に約40年勤務。鋼材など金属関連ビジネスに携わり、中国駐在時には同社と日本企業の共同出資による金属加工会社の役員を務める。2023年7月、三協プレス工業株式会社の代表取締役社長に就任。中・高・大学時代はバスケットボールに熱中し、現在は毎朝出勤前に10kmをジョギングするのが日課。座右の銘は、「がんばる!あきらめない!」
Introduction
三協プレス工業株式会社(本社:千葉県千葉市)は、「素晴らしい仲間と夢のある企業」を目指し、1946 年に創業、1956年にプレス加工会社として設立されました。現在は、建設機械部品(燃料・油圧タンク、小部品)の制作・塗装等を行っています。
後継者不在により第三者への承継を希望されていたため、事業承継機構(JSK)が2021年9月に承継し、後継社長を大手企業出身者から選任。管理業務は当機構の経営シェアリング®を活用して経営を引継ぎました。
後継社長として同社の代表取締役に就任された一柳安男氏にお話を伺いました。
▶社長に就任された経緯を教えてください
私は千葉県の出身で大学卒業まで千葉に住んでいました。卒業後は商社に約40年間勤務しましたが、ゆくゆくは地元である千葉に恩返しをしたいと考えていました。
中国駐在中に役員を務めた金属加工会社は三協プレス工業と同業態でもあり、JSKから後継社長のお話を伺った際には、何の迷いもなく引き受けることにしました。
▶実際に社長に就任されて、どのような課題があったのでしょうか。その課題をどのように克服されたのでしょうか
まずは「経営の見える化」が課題でした。
そのため、JSKの経営シェアリング®を活用し、社長経験もあるJSKソリューションチームメンバーのサポートを得ながら各種データ分析の精緻化・早期化を行い、経営課題の見える化を図り、管理の質を向上させることができました。
それにより取引先との価格改定を実現することができたほか、変動費低減にも注力。また、在庫管理の改善も進めることで収益力が大幅に向上して業績も伸び、その利益は優先的に社員の待遇改善に還元することにしました。
▶三協プレス工業の強みはどのような点にあるのでしょうか
大きくは2つ挙げられます。
第一に、お客様のニーズに応えるカスタマイズ可能な製品の生産体制と優れた専門技術です。
「金属製品なら何でもつくる」というモットーで、金属版の切断・曲げと機械加工から溶接組立・塗装まで製一貫生産できる体制を構築しています。
また、QCD(品質・コスト・デリバリー)を最優先に考え実行する体制も構築しています。
弊社は量産品をメインに生産していることから、同じものを効率よく作る技術があるため、価格にも自信があります。
そして何よりもお客様に満足いただける製品を提供できるように品質向上の取り組みを日々行っています。
第二に、品質の改善活動と社内教育です。
2024年2月に、取引先の住友建機株式会社様から「2023年度品質改善優良取引先」に認定され、二つ星を獲得しました。
これは、私が社長に就任する前の2018年から加藤工場長を中心に、社員の皆さんが一丸となって品質向上のためさまざまな取り組みを行ってきたことの賜物に他なりません。
具体的には、『社内品質会議』を新たに開始し、職場内の3S(整理・整頓・清掃)活動や2T(定位置・定表示)活動を推進、職場の安全確保を図り労災防止に努めています。
さらに、能力開発セミナーや資格取得の推進、職場内改善を推進する小グループ活動も実施しています。
その結果、製品の不具合発生件数を約90%減と大幅に削減することができました。
私たちは 今回の受賞に満足することなく、今後とも品質向上を目指し、ステップアップしていく所存です。
▶社長として今後取り組みたいことは何でしょうか
社員の皆さん一人ひとりがさらなる高みを目指していく会社にしていきたいと考えています。
そのため、業務全般の棚卸しを常に念頭に置いて日々の担当業務に取り組みつつ、現場・技術・生産管理のチームワーク強化を図っていきます。
「現状維持は後退だ! 常に挑戦を!」が今年度の会社方針の一つです。
その姿勢によって新規事業展開を積極的に行い、需要を拡大し、さらに収益を伸ばしていくことを目指します。
その上で、私たちは「価格・製造技術・品質」でお客様の期待に応えるべく、変化・成長を続けていきます。
さらに中長期には、IoT、AIなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)にも積極的に取り組み、お客様から選ばれる会社になることを目指していきます。
▶三協プレス工業株式会社についてはこちら https://www.sankyo-press.jp/