承継企業インタビュー

株式会社エフエム 代表取締役 玉城 亮 氏

Profile
関東学院大学建設工学卒、2000年㈱エフエム入社。クラウドの認知がない時代に新入社員で新規顧客を獲得し、IT技術・サービスが変遷する中で23年間営業一筋、クラウドを世の中に浸透させながら目標を達成し続けてきた。担当実績は大手損保や食品、高級アパレル・ブランドなど多岐にわたる。2019年名古屋支店長、2022年営業担当執行役員を経て、2023年7月代表取締役就任。趣味は読書で大学時代には分野を問わず1000冊読破。

Introduction
渋谷区に本社を置く株式会社エフエムは1973年に設立され、約50年にわたり人事関連システムの制作・販売、給与計算等の業務受託サービスなどを行ってきました。

後継者不在の中、転売を前提としない事業承継を希望されていたため、事業承継機構(JSK)独自の「事業承継プラットフォーム®」を活用し、「転売無し、統合無しの永久保有」を前提に、当機構から3名が経営陣として参加する形で2022年に事業承継を実現、現在は6名が参加しています。

1973年の設立当時は金融機関をメインとしたシステムの受託を行っていましたが事業を拡大し、1994年には人事・給与・考課データベースシステム『Socia』を発売。2000年にはSociaクラウドサービス、Sociaアウトソーシングサービスを開始。その後も新たなサービスを開発すると同時に時代の要請に応え、セキュリティやプライバシーの強化にも取り組んできました。

現在、従業員数は約150名で平均年令は30歳代。新卒で同社に入社し、事業承継後に社長に就任された玉城氏は46歳(2024年3月時点)と、ベテランとともに若い世代が活躍する会社です。

同社の玉城社長にお話を伺いました。

▶社長就任から一年が経とうとしていますが、社長として大切にしている理念を教えてください

私が最も重要と考えているのは、「従業員が同じ方向を向く」ことです。そのためにも、新たに「風通しの良い会社をつくろう」というスローガンを掲げました。

当社は創業50年の歴史ある会社ではありますが、会社は常に変化していかなければなりません。私のような生え抜きが社長になったということは、社内を良く知る私が調整役となって組織メンバーを同じ方向に向かせるリーダーシップを発揮していくことが重要と捉えています。JSKから参画した経営陣の2名は元社長経験者であり、その意味でも重要な役割を担っています。

玉城社長をサポートするJSKソリューション担当2名はいずれも元社長経験者

現在、JSKのサポートを得ながらビジョンや戦略を明確にし、社内に浸透させていく活動を始めています。そのために、私はほぼ毎日従業員との面談を行っています。私が入社して20年余り経ちますので全従業員の約半数は気心が知れている仲間ですが、半数は新しいメンバーで初めて知ることも多いのです。新人事制度に関する面談では8時間以上に及んだこともありましたが、とことん話し合いをするのはとても大切なことです。

基本的に、私は「自社のことは自社で」と考えていますが、その上で、知恵や情報の面でJSKのサポートが大きな力となっています。特に、中小企業の社長にとって、自分の考え方が間違っていないかどうか、経験も知見も豊富なJSKのソリューションチームのメンバーと、じっくり議論し合い、検証していただけるのは心強い限りです。今後も大いに頼りにしています。

▶お客様に対しての想いを教えてください

当社のクラウドサービス製品のブランドである『Socia』には、お客様に「寄り添う」という思いが込められています。世の中は日々進化しています。そのような中で、お客様の継続的な成長をサポートするのが私たちの果たす役割ですので、従来のイメージのアウトソーシングではなく、対等な協業的関係でお客様に寄り添うことで、お客様が抱える課題解決に貢献したいと考えています。そういう意味では、当社はIT業ではなくサービス業であるべきです。

▶社長になられて取り組みたいことは何でしょうか?

まずは、「風通しの良い会社」という文化を根づかせると同時に、“人財”の確保とリテンションに取り組む必要があると考えています。従業員のやる気を高め、一人ひとりが仕事を通じて成長できるような人事制度を構築しなければなりません。人事制度改革はどこの会社でもさまざまなチャレンジを伴うものですが、会社の永続的な成長に向けて、変えるべきものは変えていく覚悟です。

営業については、現在約20名の従業員で400社ものお客様を担当していますが、事業拡大のためにも見直しが必要と考えています。今後は、AIやITの活用によりテレワークを加速して拠点の効率化を図るなど様々な施策を駆使し、システム+アウトソーシングでさらなる成長を目指していきます。すでに2023年12月には新規拡大に向けて新たな営業部隊も立ち上げました。

また、システム管理の効率化も課題と捉えています。
2000年に新規部署を立ち上げてクラウドビジネスをスタートしてから、わずか3年で業界トップシェアまで昇りつめました。当時立ち上げメンバーだった私は、入社したばかりでワクワクしていたのを思い出します。ところが現実はクラウドに対する世の中の認識がまだ不十分だったこともあり、採算的には赤字のお荷物部門に。その後、2005年に個人情報保護法が全面的に施行されたことをきっかけに時代が追いつき、当社のセキュリティやガバナンスは最上位クラスと認知されるようになり、一挙にメイン部門となったのです。このビジネスは現在も順調に拡大を続けています。
一方で、その高いクオリティを維持するためのシステム管理が従業員の大きな負荷となっていることが分かり、今後は抜本的な効率化に取り組みたいと思っています。

まだまだ取り組みは始まったばかりですが、JSKとのチーム経営をベースに、従業員の皆さんと風通しの良い会社をつくっていきます!

        ▶株式会社エフエムについてはこちら https://www.fminc.co.jp/

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