Profile
滋賀大学経済学部ファイナンス学科卒業後、2012年に三菱UFJ投信株式会社(現 三菱UFJアセットマネジメント株式会社)入社。投資信託の法人営業、システム開発、運用企画業務に従事。2022年に株式会社事業承継機構(JSK)入社。高校、大学時代はラグビー部に所属し、スクラムの最前線を7年間務める。社会人になってからは専ら観戦のみだが、セットプレーには見入ってしまう。
▶JSK入社前はどのようなお仕事をされてきたのですか?
大学でファイナンスを学んでいたので金融業界に興味があり、卒業後は銀行系の投資運用会社に入社しました。
入社当初は自社の投信を全国の銀行や証券会社で窓口販売してもらうための営業活動を行っていました。現在私が与えられているミッションも、全国の金融機関にJSKの取り組みを知ってもらうことですので、地域金融機関には個人的に深いご縁を感じています。
その後システム部門に移って約5年間、お客様の資産管理や証券売買を行うシステムの開発に携わり、会社合併に伴うシステム統合プロジェクトにも参画しました(この頃に習得したスキルを活かし、JSKでは業務効率化・自動化に取り組んでいます)。
最後の2年半は、個別の投資信託毎の運用方針や運用ルールの策定、ファンドマネージャーの査定など、運用会社ならではの仕事をしていました。
▶JSKを知ったきっかけは?
JSK(当時Yamatoさわかみ事業承継機構=YSK)の創設にご支援いただいた、さわかみグループの澤上篤人会長と以前から交流があり、2019年に「YSK設立にあたっての説明会」にお声掛けいただいたのがきっかけです。
その後、投資家向けの事業承継セミナー「支援者の会」にも何度か参加しました。当時はまだ自社オフィスもなく、ファンドスキームなども全く固まっていない構想段階でしたが、毎回高い志を持った方々がさわかみホールディングスの一室に集まり、吉川代表と星子取締役(当時)、澤上顧問(当時)から「日本に眠っているお金を子や孫のために有効活用しよう!」という熱い言葉を投げかけられていました。
▶なぜ、JSKで働こうと思ったのですか?
今後日本で「事業承継問題」がさらに注目されるであろうと思ったことと、JSKのビジネスモデルがまだ世の中に類を見ない新規のものでありながら持続可能性に納得感があったことが大きいです。
「支援者の会」に参加していた頃は出資でお手伝いできればと考えていましたが、若輩の私が資金面で協力できることは限られると痛感し、頭と身体を使って支援しようと思い立ちました。
そして、2022年8月に10年勤務した前職を退職してJSKの正社員となりました。
▶JSKではどのようなお仕事をされているのですか?
私は「承継チーム」に所属しており、中小企業のオーナー様から会社を引き継ぐプロセスを担当しています。
具体的には、承継候補となる会社のリサーチ、株式の永久保有を前提としていくらの株価で譲り受けるかの算定、承継後の経営支援方針の策定、株価算定や支援方針策定のためのデューデリジェンス(*1)や事業性分析、銀行との資金調達交渉、株式譲渡契約の締結、といった仕事をしています。
入社して直ぐに担当した最初の事業承継案件がクローズした時は、全く初めての経験でしたので、とても安心したのを覚えています。クロージングまで無事にできたことで大きな自信につながりました
事業承継の悩みを抱えるオーナー様の中には、社長や経営幹部の後継人材にお困りの方も、当然ながら多くいらっしゃいます。
JSKでは後継人材のリサーチと採用を専門業務とする「人材チーム」が、そういったご要望に対応しています。最近は、人材チームが実施する採用面接に私も同席し、自分が担当している承継候補企業に適任の人材を見極める仕事もしています。
▶Yさんは何を目的としてJSKで働いているのでしょうか?
「事業承継問題を全面的に解決し、日本の宝である中小企業を子や孫に残します。」というJSKのミッションを他のメンバーとも共有して、日々の業務に取り組んでいます。
個人の目的としては、自分が将来も生活していく日本が心地よい国であり続けられるようにすることです。
人口動態を踏まえると、日本はこの先、モノやサービスを生み出す力が弱まっていくことが予想されます。価値を生み出している、生み出す力のある中小企業が後世へ引き継げずに失われてしまうと日本の活力はますます低下してしまいます。
日本は治安が良いことで知られていますが、日本ほど経済基盤が盤石でない諸外国では、昨今の金融恐慌、感染症拡大や戦争を起因とした経済停滞によって社会不安が高まり、安心安全な暮らしが損なわれている様子が伺えます。これは、将来の日本の状況を考えれば決して対岸の火事として眺めていられることではありません。
「事業承継問題」は日本特有の問題であるとともに、社会の安定を揺るがす問題として重く受け止めています。
▶JSKで働くことで、どのようなことを学ぶことができますか?
日本を支えているさまざまな企業やビジネスの知見を幅広く、かつ奥深く得ることができます。
これは、数多くの中小企業や経営者と出会えることも要因の一つですが、JSKには各業界のリーディングカンパニーで社長や経営幹部として事業を推進してきた経験豊富な人材が、承継企業の経営を支える「ソリューションチーム」として数多く所属していることが大きいです。業界・企業を内側から、まさに当事者として牽引してきた人材がJSKで活躍しています。
「承継チーム」と「ソリューションチーム」は仕切りのない同じ空間で仕事をしており、私は「ソリューションチーム」のメンバーに頻繁に知見や意見を聞きながら、承継候補企業の分析にあたっています。
▶JSKで働いて良かったと思う点は?
事業承継が結実し、晴れて同じ企業グループの仲間として承継企業の社員の方と交流できるようになったときには大きな達成感を得られます。
JSKでは月に1度、社員交流を目的とした懇親会を東京麹町のオフィスで行っていますが、承継企業の経営者や社員の方をお招きして楽しくお酒を酌み交わすことがあります。逆に承継企業のイベントに当社のスタッフをご招待いただくこともあります。
また、クロージング(*2)は事業承継のゴールではなく、会社をこの先も50年、100年と継続していくための支援が始まる、ある意味スタートでもあります。これから承継企業の社員の方と膝詰めでの議論が始まると考えると、将来への期待感や高揚感が高まります。
▶今後、JSKでどのように貢献していきたいですか?
オーナー様、社員の皆様、後継社長様、取引先様、地域住民の皆様、ファンド出資者の皆様、金融機関様など、承継先に関わるすべてのステークホルダーに「JSKが承継してよかった」と思っていただけるよう、一社一社の承継を着実かつ丁寧に実現してまいります。
「JSKが会社を承継すると何が良いの?」「永久保有なんて本当にできるの?」といった質問をいただくことがありますが、過去の承継実績を通じて答えていくことで、JSKの良さや付加価値をご理解いただけるものと確信しています。
*1 デューデリジェンス:
承継対象企業の経営実態を把握するために財務状況や法的なリスクの有無などを調査し、真実であるかを確認するプロセス
*2 クロージング:
株式譲渡契約の内容に基づいて、経営権の移転や対価の支払いなどを完了させ、取引を終結させるプロセス